リスクマネジメント
国土交通省の統計書き換えが問題になっています。不適切な統計処理を続け、それが発覚しないように取り繕っていたというもの。建設業の工事受注動向を示す統計で、建設業者からのデータ提出が遅れた場合に、最新データとして合算するよう、国交省が都道府県に指示していました。当初は集計職員と上司(課長補佐以上)との間の情報断絶でした。その後、担当から上司に相談がありましたが、取り上げられませんでした。問題発覚、責任追及を恐れたようです。会計検査院からの指摘、第三者委員会の報告と続き、国会でも問題になっています。
通常、リスクマネジメント(内部)では、意識、仕組み、監査が重要です。この強化で業務エラー、不正、法令違反等を防止します。仕組みでは、多重チェックや職務分掌などがポイント。特に職務分掌は、内部統制で重視されます。役割を意図的に分担する仕組みです。一人でなんでもやれてしまうと、不正が発生するリスクがあります。それを別人が分けて担当することで防ぐ仕組みです。例えば、経理で申請、承認、記帳を分ける。日常業務では「なんでこんなに何人もかかわるの?」と疑問がわくこともありますが、内部統制上の意味があるんですね。一方で融通がきかない、時間がかかる、人数が必要、などのデメリットもありますが、リスクマネジメントの観点では大事な仕組みなのです。また、監査では、内部監査と外部監査があります。外部監査は主に会計監査になりますので、まずは内部監査の体制が大事です。しかし、中小企業で専門集団を設置するのは現実的に難しいでしょう。やはり、意識、組織風土が大切になります。コンプライアンス教育、日々の確認、上司部下の対話を地道に進めることが求められます。意識、仕組み、監査を連動させて、リスクマネジメントを強化したいですね。