「マーケティングは最先端技術」という勘違い

マーケティングは日進月歩で進化しています。実際WEB、SNS等のデジタル化で、方法論は大きく変わっています。コトラー先生も、マーケティング3.0(邦訳2010年)、4.0(邦訳2017年)を出しています。製品の差別化、顧客満足から、ソーシャルメディアによる評判形成に動いているというわけです。世の中的にも「マーケティング=集客」と言い切っているものも多く目にします。しかしマーケティングをテクニカルに解釈して、その本質が抜け落ちてはいけません。最先端の手法を駆使すること自体がマーケティングだとすれば、それは勘違いだと思います。極端になると、「マーケティングの力で、価値のないものをあるように見せて拡販する」などと誤解されます。胡散臭いですね。

それではマーケティングの本質とは何でしょう? マーケティングを全く知らない人(例えば中学生)になんと説明しますか? 米国マーケティング協会は「マーケティングとは、顧客に価値を創造、伝達、提供し、組織および組織をとりまく利害関係者を利するように顧客との関係性をマネジメントする組織の機能および一連のプロセスである」としています。三省堂大辞林は「消費者の求めている商品・サービスを調査し,供給する商品や販売活動の方法などを決定することで、生産者から消費者への流通を円滑にする活動」としています。コトラー先生は「マーケティングを最も短い言葉で定義すれば、『ニーズに応えて利益を上げること』となろう」と述べています。どうでしょう? ややこしいですね。私は、要するに「顧客ニーズに応える価値を提供する総合的活動」だと思っています。キーワードは、顧客ニーズ、提供価値、総合活動。もっとかっこよく言うと「マーケティングとは、顧客ベースの価値を創造し、総力を挙げてブランドとして育てるプロセス」となります。正解はありません。しかし本質の理解はとても大切だと思います。

詳細まではとても説明できませんが、この「マーケティングの本質」を図示(記号化)するとこうなります。[(未充足ニーズ×提供価値)⇔ STP ]×4P+VC⇒CJ。※VC=バリューチェーン。※CJ=カスタマージャーニー。かなり省略していますが、ここには、市場機会、競争優位性、戦略選択、企業総合力、時間軸が全て包含されています。WEB、SNS等の最新のデジタル技術は、この中の4PやCJの一部なのです。ただし大変重要な要素であることは間違いありません。しかしそれ自体が本質ではないのです。いきなり方程式のようなものをむき出しにして恐縮ですが、ここでは「骨格が大切だ」と言いたかったわけです。普遍的な軸をしっかり持っていたいですね。

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