「インプットよりもアウトプット」という勘違い

「インンプットよりもアウトプットの方が大事だ」という考え方は、本来あまりないと思います。しかし、最近はアウトプット重視、インプット後回しの風潮が高まっているので取り上げました。そんなタイトルの本も多い。これは「インプットばかりしていてアウトプットが少ない」ことに対する警鐘だと思われます。例えば、会議に参加しても発言しなければ、どんなに優秀でも無価値だ、など。つまり、「インプット(IP)⇔アウトプット(OP)」が重要だということです。IP>OPはダメ。そのとおりです。ではIP<OPはどうでしょう? IPしたものを加工処理することで、増幅してOPする。加工処理するのはあたりまえで、それが仕事です。従って価値は増やさなくてはならない。しかし労力はやはりIP⇔OPだと思います。

そもそも日々の業務はOPの連続。OPで一旦の納品だからです。「朝から晩まで資料集め、読み込みをしていた」(=IP)というのは準備段階で、最終成果(=OP)で評価される。プロセスも大事ですが、結果・実績が強く求められます。規模や質は様々ですが、とにかく仕事はOPが重要。だから前段階のIPは最少の時間と手間で終わらせたい。効率が求められるのです。目的達成に必要なもののみに絞り込み(周辺は全削除)、WEB中心に情報を収集する。段取りよく、無駄なく。そもそも自分でやらなくてもいい。料理に例えれば、事前に必要な食材が全て用意されていて、レシピどおりに調理してどや顔でサーブする。「私が作りました」とアピールするのが、今のOPだと思います。発信力の時代ですね。

「それでいいじゃないか」、という声が聞こえそうです。必要最小限の手間で効率的にインプットして、強烈にアウトプットする。そうかもしれません。ただし、そこには大きな落とし穴があります。それは「どんな情報が必要か」という与件/お題が必要だということ。そして、調べて理解するには最小限とはいえ時間がかかるということ。要するに日頃から好奇心をもって、コツコツと事前に頭に入れておかなければダメなのです。お題が与えられるのを待って、そこからWEB検索しても間に合わないのです。これからの時代、付加価値を生むイノベーションは一瞬のアイデア結合で勝負がつきます。会議の場で、「それ面白いね。これと組み合わせてみよう」、「そういえばこんな事例もあったので、ここにも応用できるかも」などの化学反応が必要です。最初から脳内にIPしておき、即座に反応する。慌ててググっても遅いのです。新結合、アナロジー、例え話、イノベーション等アウトプットの質は、豊富で多様なインプットで決まります。「草を食べない牛からミルクは出ない」とよく言いますがそのとおりです。暗記量の多い人が必ずしも優秀ではありません。しかし優れたアウトプットを出す人は例外なく『物知り』です。そして例え話も上手い。あらためてインプットの大切さを意識したいと思います。

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