「イノベーションはひらめき」という勘違い

イノベーションが様々な形で展開される昨今、新しい発想や試行錯誤がますます求められています。しかし「イノベーションはひらめき」という考え方に縛られているケースも多いようです。「イノベーション=発明」(ピカッやチーン)ではありません。ビジネスにおいては、ある程度の定石が存在する。機械的にはできませんが、定石を知っていると可能性が広がります。

大きく分けて、①種のあたり付け、②発想の方法、③実現の方法の3つを考えます。まず①種のあたりを付ける。いきなりイノベーションが形になるわけではないので、最初は小さな種をざっくり見つけます。見つけるためのアプローチは主に3つ。A)顧客のニーズから見つける→ミクロ視点→消費者インサイト。B)市場のトレンドから見つける→マクロ視点→大きな潮流(空間・時間)の掌握。C)提供者のシーズから見つける→競争優位な強み(技術・リソース)。理想はA×CまたはB×C。このあたりはSWOTのS(強み)×O(機会)にあたりますね。でも種が面白そうならまだ単独でもOKです。

次に②発想の方法を考える。種を形にしていきます。A)組み合わせる。B)アナロジー。C)使い道。Aは基本ですね。Aでよく言われる例は、電話と写真で写メール(古い)。Bのアナロジーとは、ある領域のパターンを異なる領域に応用する。例は、飲料メーカーのベルトコンベアを回転寿司に応用(これも古い)。Cはマッチングです。用途開発とも言う。例は、フィラメントに電流を流す技術を電球に使う(エジソン、古すぎる)。

最後に③実現の方法。これは「仮説を多く作って、高速にビジネス実験を展開する」が基本です。打席に多く立つ。種を見つける→仮説を立てる→形にする→市場で試す→評価する→修正する。PDCAに近いです。アイデア(種→仮説)を、高速でビジネス実験して、検証・修正・撤収する。高速ビジネス実験は、テストマーケティングや試験製造などが当てはまります。すぐにプロトタイプを作る「デザイン思考」も近い考え方です。クローズドな消費者調査よりは、実際のテスト販売が好ましい。以前は北海道や静岡県がテスト販売のメッカでした。実験店舗(アンテナショップ)を活用する場合もあるでしょう。

ということでイノベーションの定石をお話しました。しかしそもそもイノベーションにマニュアルはありません。定石に従っている限り、ぶっ飛んだ変革にはならないかもしれません。しかし「ひらめき」に頼っていても、闇雲に「ジャストアイデア」を乱発しても限界がある。今回ご紹介した方法が少しでも、ヒント・手がかりになればと思います。

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