質問する力

ビジネスの定石で、「質問をする時、上司に対してはクローズドクエスチョン、部下に対してはオープンクエスチョンをせよ」というものがあります。なぜでしょう? まず上司に対して。いきなりオープンクエスチョンをすると、それは「答えを教えてください」と同義になってしまいます。「〇〇について、どうしたらよいでしょうか?」これは思考停止に近いです。まず自分なりに(未熟でも)答えを考えて、それを上司にぶつけてみる。「〇〇について、私は〇〇すべきだと考えます。いかがでしょう?」これが思考訓練になり、成長につながります。また上司は多忙なので、「Yes or No &その理由」という形で答えられると助かります。

次に部下に対して。上司がクローズドクエスチョンをすると、同調圧力がかかるリスクがあります。「〇〇すべきと考えるが、どうか?」→「は、はい、いいと思います」といった感じです。部下は深く考えることなく、またはプレッシャーを感じて、本能的に同意してしまう。たとえ、「Yes or No」ではなく、「A or B」という質問でも、「C」という第三の案はまず出ない。完全にレールに敷かれてしまいます。ここはオープンクエスチョンにすべき。「〇〇について、あなたはどう考える?」これがよい質問。これに対し、部下は自分で考えて、自分の意見を述べる。それに対して上司は感想を言う。さらにこれに対し・・・。このやりとりが、いわゆる「壁打ち」というもので、付加価値を生みます。部下は自分の成長につながるし、上司は人材育成(OJT)になる。

通常、上司と部下の対話は次のようになります。(まず業務報告から)部下「懸案の件ですが・・・です」→上司「・・・なのは、なぜ?」(Why)→部下「・・・だからです」→上司「それに対して、あなたはどうしたいの?」(Will)。Why&Will。これは特に30歳前後で重要です。

20代は「好奇心&冒険心」、30代は「Why&Will」、40代以上は「should/will/can」が大切です。Whyは課題、Willは仮説につながる。課題解決と仮説構築の力が鍛えられるわけです。外資系コンサル会社では、「課題は何?」、「それに対するあなたの仮説は?」という問いがひたすら繰り返されるそうです。以上は、上司と部下との間で行われる理想的な対話で、この質が上がるとPDCAやOJTの質も上がり、育成⇔成長になります。ちなみに「質問する力」としては、相手から情報を引き出すスキルもあり、これはインタビュー技術です。こちらは機会をみて、またお話したいと思います。

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