「北風と太陽」のはなし

みなさん、「北風と太陽」のお話(イソップ寓話)はご存知ですね。北風と太陽が、旅人の上着を脱がせることができるか、という勝負をし、太陽が勝ったというお話です。子供のころよく聞きました。教訓は「力づくでは人は動かない、暖かく接する態度が大切」といったことでしょうか。さてこの話には続きがあるとも言われています(上着の話の前という説もあります)。

続き・・・次に北風と太陽は、旅人の帽子をとる勝負を始めた。まず上着で勝ったドヤ顔の太陽が旅人を照りつけた。しかし旅人は日差しを避けようと帽子を深くかぶり、けっして脱ごうとはしなかった。次に北風が思いっきり強く、ビューと吹いた。すると、旅人の帽子は簡単に吹き飛んでしまった。・・・とこんなお話です。

この二つの話を総合した教訓は、「何事においても、そのつど適切な手段を選ぶことが肝要である」ということです。臨機応変が大切。過去にうまくいったことがずっと通用するとは限りません。むしろ成功体験が足かせになることも。過去の勝ちパターンにしがみついて凋落していった事例も多いです。主力商品の市場No.1にこだわって、次の柱の育成に遅れる。新商品の開発に成功しても、「イノベーションのジレンマ」に陥ってその後の付加価値開発が後手にまわる。しかし、当事者にその認識はあまりないようです。

ビジネス雑誌でも「○○凋落」などの特集がよく組まれます。「何もしてない」と分析・解釈されてしまう。過去の成功体験から離れるのは難しいですが、今手にしかけているものを手放すのはもっと難しい。モンキートラップというインドネシアで猿を捕まえる罠があります。ココナッツの中をくり抜き、米を入れておく。そこに猿が手をギリギリ入れられる程度の大きさの穴をあけておく。でもお米を握るとその拳を引き抜くほどの大きさはない。猿は人間が近づいて来ているのに、つかんだ米をこぼすのが惜しくて遂には捕えられてしまう。ここでの教訓は、「目先の利益にとらわれて大きなものを失ってはいけない」ということでしょう。

いずれにせよ、過去の成功も目先の利益も、手放すのは簡単ではありません。しかし、本質的な目的を達成するために、臨機応変に手段を選択することが大切です。何かを選択するということは、何かを捨てるということ。課題が変われば戦術も変わる。あの手この手の試行錯誤が重要です。仮説→実験→評価→修正の繰り返しですね。

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