プロフェッショナル
私は、「能力開発を定着させるポイント=①習慣化する力、②準備する力、③ざっくり進める力」だと思っています。それぞれについてまたお話しますが、今回はこの中の「準備する力」について考えます。ちなみに研修業界ではよく、「アムンゼンとスコットの南極点到達」と「八甲田雪中行軍」を例にいかに準備が重要か(生死を分ける)を学びます。
さて私はNHKの番組「プロフェッショナル仕事の流儀」で、最後に出演者が「プロフェッショナルとは・・・」と語る部分が好きです。特に印象に残っているのが、「プロフェッショナルとは、準備を怠らず、万全の体制で仕事に臨む人である」。小児外科医、通訳、プロスポーツ選手、消防士など多くの方が同様のことを言っていました。「準備ゼロで乗り切ったぜ」という武勇伝はたまたまで、本当のプロこそしっかり準備するんですね。
この番組、私は最近あまり視聴する機会がありませんが(またに見ます)、以前見た感想を書きます。出演は精神科医の本田秀夫先生(信州大学医学部附属病院)。発達障害を専門にする日本屈指のスペシャリストで、長期にわたって診察を続けるスタイルが特徴です。本田先生は、「普通とは何か?」、「幸せとは何か?」を問い続けます。そのまなざしがとても優しく、決して上から目線ではありません。自分自身も、そして父親も、発達障害と言えるような部分を持つと言います。自分がしているのは治療ではなく、診察だとも言います。自信をなくした人、つらい思いをしている人、そしてその家族に寄り添う。この本田先生が最後に語ります。「プロフェッショナルとは、いつも仕事(患者)のことを考えている人だと思います」。何をしていても、これはヒントかも、これは役に立つかも、と考えているそうです。それを聞いて、「ああ、これも準備だなあ」と感じました。
昨今働き方改革が進み、オンとオフの切り替えが重要だと言われます。でも先生はそんなのおかまいなしに、いつも仕事(患者の診察・対話)のことを考えている。ずるずると仕事のことを気にしていると疲弊します。しかし、オンからオフには出来ても、オフからオンに切り替えるのは難しい。理屈抜きに自分の使命に向き合っている姿を見て、「本田先生らしいプロフェッショナルの姿だ」と思いました。絶対の正解はありません。私たちは、自分らしくオン・オフを上手に切り替えたいですね。