フライホイール効果
先日、ある記事でamazonのジェフ・ベゾス氏が取り上げられており、その中で、「AIフライホイール」というものが紹介されていました。非常に興味深い内容です。amazonの「AIフライホイール」とは、利益を再投資することでさらに売り上げを伸ばし、成長を持続させるビジネスモデルです。「昔習った拡大再生産ね」と思うでしょうが、もう少し現代的かつ具体的です。低コストビジネスの仕組みを作る→顧客に低価格で商品を提供する→顧客に高い満足度を与える→顧客は再び買い物をする→商品全体の取引量が増加する→さらに多くの販売企業が参入する→商品の品揃えが増える。→さらに顧客満足度が高くなる→拡大したキャッシュフローを再投資して新たな事業に挑戦する→amazonの成長が加速し続ける。こんなモデルです。
スタートは徹底した「低コスト低価格」。しかしそれだけで上手くいくほど簡単ではありません。成長の原動力となったのが、「AIとビッグデータの活用」です。一人一人の顧客情報を収集分析して、このホイールの回転力を高める。お薦め機能などは大変優れています。人が集まれば集まるほど、分析や提案が進化し、取引量、満足度が上がる。顧客数、品揃え数、販売金額、新規事業数、全てが拡大するシナリオです。仕組構築と先端テクノロジーの掛け算で高付加価値を生み出す、それが「AIフライホイール効果」です。ちなみに、ベゾス氏は顧客本位を貫いていますが、その一方で従業員には鬼のように厳しく、数々の逸話があるようです・・・(詳細は省略)。
さて、この「AIフライホイール」、私が共感を得たのは、ビジネスモデルそのものというよりは、その構造です。つまり「らせん回転運動」。事業戦略でも、ビジネスモデルでも、組織・人材開発でも、このモーメントが非常に大事だと思っています。成功のメカニズムと言ってもいい。フライホイールとは、もともと機械設備の用語で、回転系の慣性モーメントを利用した円盤状の部品だそうです。勢いがつけば回転速度が安定するらしい。ビジネスモデルと言うと仰々しいですが、日常業務も同様です。個々別々の課題、案件、施策ではない。全ての課題はつながっているし、全ての打ち手を連鎖させなくてはならない。そうしないと回らない、エネルギーが最大化できない、成長しない。全てがつながって上昇できれば、必ず貢献と成長のレベルも上がる、そう思います。