戦国武将からの学び

歴史の小説やドラマで人気が高いのは、戦国時代と幕末です。大河ドラマでもこの二つが圧倒的に多いですね。今回は戦国時代をテーマにします。主役は武田勝頼。参考にしたのは伊東潤氏の歴史小説で、「天地雷動」、「武田家滅亡」の二冊です。小説ですから全く史実のとおりではありませんが、組織運営や人材マネジメントについて深く考えさせる良作です。

「天地雷動」は長篠の合戦、「武田家滅亡」はその後武田家が滅ぶまでを題材にしています。武田勝頼は、ご存知の通り武田信玄の跡継ぎ。信玄の四男で庶子(側室の子)でしたが、嫡男の義信が謀反の罪で廃嫡され、信玄の死により家督を相続しました。元々は母方の諏訪氏を継いでいたので、信玄とは距離があったようです。カリスマ戦国武将からの直接の学びは少なかった。信玄亡き後の家臣団との関係も微妙。何かと先代と比較され、組織統制や外交がうまくいかなかった。信長・家康連合と敵対して長篠の合戦で多くの有力家臣を失い、その後上杉家のお家騒動に首をつっこみ、北条氏との関係も悪化。ずるずる衰退して武田家滅亡となりました。歴史上は否定的評価が多いようですが、本来は勇猛果敢で頭もよい人物。近年の研究では評価が見直されつつあるようです。しかし相手が苛烈な信長なので、時代の流れは変えられなかった。その迷走ぶりから学びを得たいと思います。

私の解釈ですが、ポイントとなる切り口は3つ。①自分、②対内、③対外。①勝頼は「自分らしい強み」を確立できなかった。先代信玄の影響、出自の劣等感、若さ(相続時20代)などの惑いの中で、激烈な環境に翻弄されてしまった。②個性的で声の大きい実力者たちで形成される家臣団を、上手にコントロールできなかった。③対外交渉で感情が先に立ち、海千山千の相手に手玉に取られた。これらの結果、決して愚劣ではないにもかかわらず、勢いはジリ貧となり、最後は多くの家臣が離反して滅びた。ここからの教訓は、①試行錯誤しながら「自分の強み」を早期に確立する。②信頼できる優秀な人材登用と、功績のある従来スタッフのバランス配置と団結力強化を図る。③冷静な交渉力をつける。合理的プロコンとBATNA(詳しくはWEBで)を事前に考える。

これらは「正論」だし、決して簡単ではありません。しかし取り組まないと勝ち残れない。あくまでケースバイケースでしょうが、チーム運営するにあたり、①自分、②対内、③対外の3つの視点は意識したい。あらためてそう思います。

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