集中力

将棋の羽生九段(50歳)は、免許を持っていますが車の運転はしないそうです。なんで? 将棋のことを考えると集中しすぎて危ないからです。頭の中で将棋盤が動き出すと、止まらなくなるらしい。これ「フロー状態」です。将棋は対象に没入する条件が備わっています。ルールが明確。勝つためのシナリオは無数にある。しかもプロ棋士は、目標の難易度と技量のバランスがとれている。羽生さんの集中力はすごいんでしょうね。

この「フロー体験」とはどういうものでしょう。もともとチクセントミハイという心理学者が提唱したものです。芸術家などが創造的仕事に没頭すると「忘我の境地」に入り、時間を忘れて集中する。あっという間に時間が過ぎる。読書やおしゃべりなどに夢中になるのもフロー体験の一種だそうです。

このフロー状態になるためには、3つの条件があります。①明確な目標、②フィードバック、③自己スキルと挑戦レベルの釣り合い。この3条件が満たされると、脳の能力が集中されて創造的になる。そしてフローで創造的な結果を創出するためには、特定分野での訓練が必要だと言います。この訓練でポイントになるのが「覚醒」と「コントロール」。自己スキルが挑戦レベルを上回るのが覚醒、挑戦レベルを自己スキルに見合うまで高めるのがコントロールです。ちなみにドイツの調査では、「能動的に多くの本を読んでいる人はフロー体験が多く、本を読まず受動的にテレビを見ている人はフロー体験が少ない」という結果が出ています。どうやら、『能動的×好きなこと=フロー』のようですね。それは「楽しさ」や「Happyな気分」にもつながります。

さて一般の仕事ではどうでしょう。事務部門などはフロー体験は少ないでしょうか? 確かに定型反復業務でその都度フロー状態になったら、疲弊してしまうかもしれません。創造的な業務に没頭している時にフロー状態になりますが、創造的な仕事って、必ずしも斬新なアイデアやクリエイティブなものばかりではありません。従来とは異なることへのトライ、難しい課題の解決、仮説の構築と検証、なども当然該当します。つまり健全な負荷がかかっていて、その先に何か価値がありそうな状態。「コンフォートゾーンから抜け出した新たな挑戦」で集中力は鍛えられます。通常は「適切なPDCA」に取り組むのが大切ですが、時には時間を忘れるほど夢中になって、課題解決や価値創造に向き合いたいですね。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です