組織論を考える

政府がデジタル庁の創出に動いています。デジタル化の一元的推進と同時に、行政の縦割り打破を目指している。海外ではすでにIT大臣がいて、感染症対策で活躍している国もありますね。デジタル庁はナイストライだと思います。一方、関係省庁の抵抗も予想される。なぜか? ヒト、モノ、カネです。縦割りに横串を刺すとマトリクス組織になります。ヒト→二つの指揮命令系統、モノ→システムの個別事情、カネ→予算権限の綱引きなどの問題が発生する。もともとマトリクス組織は、中期的に安定する形ではなく、短期プロジェクトに適合する体制です。強いリーダーシップの元、一気に変革をやり切る。時間がたつと、多くの結節点でひずみが生じやすいのです。今回は組織論について考えます。

最初に「組織は戦略に従う」(チャンドラー)という大前提が大切。いきなり「あるべき組織は・・・」と考えてしまいがち。その前に「何を実現しようとしているのか」、「前提となる戦略は何か」を明確にすることが最重要です。目的は当然あるのですが、それが抽象的で曖昧な場合が多い。「機能強化のため」、「効率性アップのため」というビッグワードに振り回されて、組織がコロコロ変わると混乱するだけです。

戦略が明確化されたら組織設計。世の中の企業をざっと見ると、事業別、機能別、マトリクスの3つに大別されます。一つ一つの形態の解説は割愛します。それぞれ一長一短があるので、WEBで調べてみてください。ここでは形態ではなく、ベースとなる考え方を整理します。組織論のわかりやすい書籍「組織戦略の考え方」(沼上幹教授・一橋大学副学長)を参考にします。

昨今様々なフラット型組織が脚光を浴びており、変化対応や機動性の観点から理にかなっていると思います。一方で官僚型(ピラビッド)組織を一方的に批判する風潮もある。しかし、「基本は官僚型組織である」と沼上教授は言います。これ自体が悪いのではなく、それが重層化、複雑化するのが問題だと。権限を委譲し、例外案件を上司が意思決定する、という基本形をベースに付加価値を上げて組織力を高める。指揮命令系統が不明確な組織では「凡ミスの山」ができる。「事故や災害」のリスクも高い。基本を大切にしつつ、どうやって機動力を高めるか? 適切な権限移譲のあり方は? などを工夫する。私たちも、組織設計するときは、①目的(戦略)、②基本形、③新たな工夫、の3つのベストマッチング、メリハリ、バランスをよく考えなければなりませんね。

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