空・雨・傘
「空・雨・傘」って聞いたことありますか? これ思考のフレームワークで、マッキンゼーなどのコンサルティングファームでもよく使われているようです。最近読んだ本にもフレームワークとして紹介されていたので、今回取り上げたいと思います。『空を見上げると、雲行きが怪しいので傘を持っていく』、ただそれだけのことです。しかし、この中に重要な思考パターンが含まれているんです。
①空→「空は曇っている」(事実認識)。②雨→「ひと雨きそうだ」(解釈)。③傘→「傘を持っていこう」(解決策)。この3ステップを定着させることが、問題解決力の強化につながります。①判断材料を人に委ねず、事実を自分の目で確かめる習慣をつける。②認識した事実に基づいて適切な(妥当な)解釈を行う。あらゆる可能性の中から最も納得のいく解釈を導く。解釈を1つに限定しない習慣をもちましょう。③目的と解釈を踏まえ、対策を柔軟に複数あげたうえで、最も合理的な選択に絞る。ここでは合羽でもいいし、外出をやめてもいいんですが、「傘を持って外出する」という選択をしています。「①認識→②解釈→③判断」という流れですね。さらに展開すると、①認識→気づく→情報収集、②解釈→想像する→分析/仮説構築、③判断→選択する→準備/行動。これだけのことに、多くの重要要素が凝縮されています。
通常、論理的思考は「あるべき姿」からスタートし、現状把握してギャップを特定します。そこから分解/分析が始まる。しかし日常の判断はもっとスピーディー。ぱっと見て、ぱっと感じて、ぱっと動かなくてはなりません。論理的にギャップを分析している余裕はない。とすると最初の事実認識が非常に大切になります。気づくか気づかないか。誰も、お膳立てして教えてはくれません。つまり感度です。『チャンス&リスク感度』。
そもそも「空見なかった」では事実認識できない。「えっ、見なかったの?」と言われてしまう。「社内掲示板見てないの?」、「ミーティングで部長が言ってたじゃん」、「新聞に載ってたよね」などなど。まず空を見ようということ。「気づく」という行為は、決して受け身ではありません。自ずと情報が入ってくるわけではない。感度を上げるためには、情報を自分から取りに行く、入ってきた情報を逃がさない。そして感じること。「なんか違和感がある」っていうのも経験から来る立派な感度です。例えば計算業務でも、合計に通常よりも大きな数値が出ていたら、「個別値にエラーがあるかも」と確かめて、すぐに修正する。日常の仕事で、この「空・雨・傘」の感覚を磨きたいですね。きっと、いいことありますよ。