脱ゆとり世代の力

将棋の藤井聡太二冠(棋聖、王位)が、渡辺明三冠(名人、棋王、王将)と棋聖戦を戦っています。藤井さんは、史上最年少の14歳2ヶ月でプロ入りし、将棋界の様々な記録を塗り替えてきました。相手の渡辺明さんもすごい人で、現役最強と言われていますが、今回も藤井さんが二連勝し、タイトル防衛まであと1勝になっています。藤井さんが強いのはシロートでも知っていますが、プロ棋士の印象は我々の想像を超えるようです。「何が起きたのか分からないほどの強さ」、「研究量と発想力の両方が備わっている」、「積んでいるエンジンが違う」などなど。羽生九段も絶賛しています。

藤井さんは2002年7月生まれ。この2002年生まれの人は、「脱・ゆとり教育」の初代と言われています。「詰め込み教育」への批判から「ゆとり教育」が始まり、授業時間削減、総合学習導入等が行われた。その結果、若者の基礎的な学習や教養が不足し、国際競争力が低下したと言われています。その修正で登場したのが、「脱・ゆとり教育!」(なんだその通称)。2008年に学習指導要領が改訂され、2009年から移行期間がスタートしました。この時小学校1年生だったのが2002年生まれです。まさに藤井さんの世代。

「しっかり学ぶ姿勢」を身につける機会が増し、勉強でも、勉強以外でも、早くから才能が開花する素地ができたと考えられています。「詰め込み教育」時代の、受験戦争を中心にした「過剰な競争」が反省され、のびのびした主体性を重視して「ゆとり教育」を導入。しかし、実際には「放任的な脱・競争」になったのではないかと私は思います。

今活躍している「脱・ゆとり世代」の家庭の共通点を見ると、「競争環境に身を置くようにしている。健全な負けず嫌いの気持ちを育んでいる」が上げられています。納得ですね。なんだったんだ、ゆとり教育って。藤井さんも5歳から将棋を始め、幼いころから負けず嫌いで、負けるたびに号泣して目立っていたそうです。中学2年でプロ棋士になり、高校進学をとても迷い、周囲も注目しましたが、名古屋大学付属高校への内部進学を決断。それで立派にタイトル獲得だからすごいですね(高校はその後自主退学)。

「知識や暗記」がダメなのではなく、「興味がない状態で無理やり詰め込むこと」がダメ。「知的好奇心を上げる教育が必要」、これが私の結論です。そして「健全な負けず嫌い」になること。これ、私たち大人にも非常に大事なことだと思います。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です