エネルギー政策にみる価値観

政府は、脱炭素化を加速するため、再生可能エネルギーの普及促進に向けた包括政策「再エネ経済創造プラン」を策定しようとしています。非効率な石炭火力発電(26%)の段階的縮小と、再エネの育成が狙いです。再エネは太陽光、風力などですが、特に風力に力を入れていて、「洋上風力は主力電源化への切り札」と位置づけている。石炭から風にしようとしているのですね。ちなみに日本は東日本大震災以降、原子力が激減し、現在は液化天然ガス火力が最大比率です(35%程度)。

世界の発電について少し見てみましょう(WEB調べ)。全世界で一番多いのは石炭で構成比36%。その次はガスで23%。さらに水力15%、原子力10%と続き、風力は5番目で約5%です。次に石油3.1%、太陽光2.7%。世界的には石炭とガスで6割なんですね。

では国別の特徴をさらに見てみましょう。まず自然エネルギー比率が高い国は、デンマーク(8割超)とカナダ(6割超)。ただし中身はかなり異なり、デンマークはその多くが風力発電、カナダはそのほとんどが水力発電。国のイメージに合うな。ヨーロッパは全体的に風力の比率が高く、これは周囲に遠浅の海洋があり、洋上風力の拡大が進んでいるかららしい。ちなみにデンマークはバイオマスの比率も高く、世界一です。

他の国の特徴も上げます。フランスは原子力が7割超を占める。1973年のオイルショックの時、独立精神の高いフランスは自給にこだわり、原子力発電に大きく舵を切りました。中国とインドは石炭の構成比が半分以上です。なお、太陽光発電比率が高いのはドイツですが、それでも8%。政策的に比率を上げるために、補助金支出や法整備をしていたけど苦戦している。発電は保有資源の要素が大きいですが、国の価値観も反映されますね。

デンマークいいね。この国では、二酸化炭素削減の話題がほとんどないらしいです。さらに、「2050年に再生エネルギー100%」を目指している。デンマークは、国連幸福度調査(2019年)で世界第2位にランクされています。ちなみに1位はフィンランド、3位はノルウェー、日本は58位です(デンマークは13、14、16年は1位)。上位を北欧が占めている。北欧は社会保障が手厚く、質の高い教育をしていることで有名ですが、デンマークはエネルギー政策でも進んでいます。消費税は25%ですけどね・・・。

さて日本のエネルギー政策。太陽光発電は難しいですが、洋上風力発電は可能性があると思います。自然を征服するのではなく、自然を味方にする。これからの社会ではそんな価値観が大切です。“With WIND”いいですね。

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