この先の働き方

今回、落合陽一さんの著書「働き方5.0」を元に、この先の働き方について考えてみたいと思います。落合さんは、筑波大学情報メディア創成学類→東京大学大学院学際情報学府、という文理融合・最先端の経歴で、現在は筑波大学准教授(学長補佐)かつ実業家です。論考はデジタル(コンピューター&インターネット)を軸としており、時代の切り口が鋭いですね。「働き方5.0」の要旨はこうです。・・・・・感染症以降は、デジタルネイチャー(コンピューターと人間の新しい関係性)の世界だ。処理能力で勝負するホワイトカラー(特に中間管理職)は淘汰され、「クリエイティブ・クラス」の時代となる。この「クリエイティブ・クラス」は、問題発見ができ、モチベーションが高く、人間を深く理解している(コンピューター(システム)はどれも苦手)。これからは「誰ももっていないリソースを独占できる者が勝つ」そんな時代だ・・・・・。

コンピューターが得意なのは「総当たり戦」です。与えられた問題のあらゆるバリエーションから最適解を見つける。問題解決では人間は勝てません。むしろ、システムが指示を出して、人間が下請けとなるケースが増えるかも。つまりインターフェース(人との接点)だけを人間が受け持つ。必要なのは、システムができない暖かい笑顔と柔らかい口調のみ。うーん、厳しい世界だなあ。「クリエイティブ・クラス」になるなら、暗黙知と専門性を鍛えるしかない。もはや形式知(誰でも知っている知識)や全般性(広く浅く)には価値がない(落合氏)。

もともとこの本、2016年に出版された書籍をベースにあらためて新書化されたものです。従って感染症蔓延が前提にはなっていない。むしろもっとダイナミックです。リモートワールレベルをはるかに超えた大きな視点で、近い将来を考えている。今の私たちは「ZOOM使えるな」とか「意外に在宅でもできるじゃん」などの気づきですが、時代はもっと大きく動いている。

よくある「人間の仕事がAIに奪われる」ってやつでしょ? いやいや、落合氏の論考はもう少しテクノロジーを社会的に捉えています。仕事の代替性という狭い範囲ではなく、社会や人間が進んでいく先を示唆している。起業するにもIT系であれば、ほとんど資本がいらない時代です。もはや資本主義という言葉自体も合わなくなっている。真の資本は「人間」そのもの。この本の読者は、これからを支える若い世代を想定しています。ターゲットは、私のようなおじさんではありません。しかし人生100年時代。「俺おっさんだし。えへへ」などとヘラヘラしてる場合じゃないぞ。あらためてそう思います。

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