共感力を高める
現在のビジネス環境変化を大きく3つあげるとすると、①少子高齢化、②グローバル化、③機械化、になるでしょう。ここでの機械化とは、AI、ロボット、IoTなどのテクノロジーを活用した合理化・自動化。野村総合研究所と英オックスフォード大学の研究によると、日本の労働人口の約49%がAIやロボットなどで代替可能といいます。内閣府も「Society5.0」という、日本が目指すべき未来社会の姿を提唱しています。1.0が狩猟社会、2.0が農耕社会、3.0が工業社会、4.0が情報社会、そして5.0が「つながる社会」とでも言うのでしょうか。膨大なビッグデータをAIが解析し、その結果がロボットなどを通して人間にフィードバックされる社会。これも機械化ですね。
さて機械化後もAIに代替されずに残る仕事ってどんなものでしょう?最近読んだ本では、①高度な思考、②人間関係構築、③物理的体躯、だそうです。③は例えばプロスポーツなど生身の人間でないと成立しない仕事。①は抽象化、概念的思考、仮説構築などですね。②はどうでしょう。例えば、仕事でトラブルが発生し、先方があやまりに来たら、それがロボットで「スイマセン。ココロカラハンセイシテイマス」と言われてもねえ。結局人間関係そのものをAIが代替することはできません。
よく言われますが、夫婦の会話で夫は「解決」を求め、妻は「共感」を求める。なんとなく納得できますね。例えば奥さんから「今日、こんなかことがあって、すごく腹が立った」という話を聞いて、夫が「それは〇〇が原因だよ。〇〇に相談して〇〇してみな」といった感じで応えます。それに対する奥さんの反応は「なによ、えらそうに」。夫は「えー」。奥さんからすると「そうだったんだ。それはきついね。わかる、わかる」といった反応がほしいのだと思います。つまり「解決」がほしいのではなく、「共感」がほしい。ん?そういえば「解決」はAIが得意で、「共感」はAIにはできない。つまり男性はAIに代替されるリスクが高く、女性はリスクが低い。ちょっと短絡的かもしれませんが、私はそんな気がします。男性のみなさん頑張りましょう。
これからは人間の「共感」をいかに獲得できるかが重要課題です。コミュニケーション、リーダーシップなどのヒューマンスキルがますます大事になります。私たちもAIの導入で、ユーザーと直接話す貴重な経験、訓練の場を狭めているのかもしれません。時代の流れですが、だからこそ意識的に「共感力」を高める努力をし、その機会を自分でつくる必要がありますね。