ビジョンの重要性

先週、NHKアカデミアという新番組を見ました。学者・研究者・著名人からのメッセージを発信する番組です。初回は生命科学者・山中伸弥さんのお話。ご承知のとおり、iPS細胞の生みの親で、2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。番組での山中さんのメッセージは素晴らしく、非常に感銘を受けました。特に印象に残ったのが、ビジョンの重要性です。

山中さんは医学部を卒業後、外科医として臨床の道を歩み出します。しかし、自分が外科医に向いていないことを実感し、研究の道へと転進します。ご本人は「逃げ出した」と表現していました。その後アメリカに留学し、そこでの恩師から「VW」という言葉を授けられます。ビジョン&ワークハード。この言葉が人生を大きく変えたと言っています。日本人はワークハード(一生懸命努力する)は得意。しかしビジョンが見えない。山中さん自身も、自分に確かなビジョンがないことに気づきます。そして「今は治療できない難病を、将来治療できるようにする」という元々抱いていた思いをビジョンとして明確にします。

その後も波瀾万丈な研究者生活を続けますが、始めて自分の研究室を持ち、学生を募集する時にあらためて「研究室のビジョン」を打ち出しました。「受精卵からではなく、皮膚から万能細胞をつくる」。このビジョンに共感して、3名の学生が研究室に入ってくれたそうです。山中さんはとてもうれしかったと振り返っています。

私が感銘を受けたのは、ビジョンが方向性は変えずに具体化していることです。企業の経営戦略を立案するときもビジョンを掲げます。ミッションは会社の存在意義・使命であり、不変。ビジョンは「ミッションの中期的なレベル化」であり、変化・進化します。山中さんのビジョンは見事に具体化していました。企業のビジョンも進化したいものです。そしてワークハード。私もVWの重要性をあらためて実感しました。

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