集団の意思決定

本日12月8日で、真珠湾攻撃から80年がたちます。1941年に旧日本軍が米ハワイ・オアフ島の真珠湾(パールハーバー)を奇襲しました。最近、NHKを中心に特番が多く放映されています。日中戦争から太平洋戦争で死亡したのは約310万人です(戦争・空襲など)。東日本大震災の犠牲者が約2万人ということを考えると、とてつもなく大きな数だということがわかります。総務省によると、現在元軍人は6400人で、その平均年齢は94歳だそうです。戦争を知らない世代への継承が課題になっています。

新聞に元軍人の方の記事が載っていました。真珠湾攻撃で空母に乗って参加。開戦前は「日本と米国では国力が違いすぎる。対米戦争はない」と信じていました。爆撃訓練も「日中戦争拡大への備え」と考えていた。行き先を告げられない艦内で南雲中将の対米開戦の訓示を聞いて、「大変なことになった」と血が引いたそうです。その後、多くの戦友を失いました。「外交で開戦を回避できていれば」と振り返ります。

今、「なぜ戦争を回避できなかったのか」と多くの検証が行われています。ここでその分析はしませんが、上記のとおり当時の現役軍人ですら、日米開戦はありえないと思っていました。後で冷静に考えると、信じられないような意思決定が行われることがあります。多くの場合、独断か集団浅慮です。独断は、独裁的な支配者が自分の狙い優先で意思決定し、周囲が諫言できない状況。これはわかりやすいですね。もう一つの集団浅慮は、集団思考とかグループシンクとも言われます。集団の凝集性が高い場合に、全体のムードに流されて反対意見を言えない雰囲気が出来上がってしまう。米ケネディー大統領のピッグス湾事件(キューバ侵攻作戦の大失敗)が有名です。この集団浅慮がくせ者。一般企業でもよくある現象です。「客観的に冷静に、自分の意見は臆さず発言しよう」と言うのは簡単です。でもとても言えない状況というのがある。80年前はそうだったのでしょう。一致団結もいいことだけではありません。時には勇気をもって信じていることを発信したいですね。

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