これからのキャリアデザイン

フジ・メディア・ホールディングスは、連結子会社のフジテレビが「ネクストキャリア支援希望退職制度」を導入して、希望退職者を募集すると発表しました。対象となるのは50歳以上かつ勤続10年以上の社員で、通常の退職金に加えて特別優遇加算金を支給し、希望者に対して再就職支援を実施するとしています。業績が低迷する中、経営計画における人事政策の一環として実施するそうです。かつて「楽しくなければテレビじゃない」などのキャッチフレーズで視聴率も収益も上げてきたフジテレビの決定について、驚きの声がSNSに上がっています。バラエティー、ドラマ(月9)、お笑いなど、イケイケGoGoでしたからね。

しかし希望退職者募集や、早期退職優遇制度の導入は珍しいことではありません。多くの会社で実施しています。こういう施策が難しいのは、「企業側の理想通りにはいかない」ということです。つまり、会社が退職してほしい社員は制度を使わず、残って欲しい優秀な社員が辞めてしまう。あまり戦力にならない社員は、自分が再就職して活躍するのが難しいとわかっています。大企業の看板がなくなるのも不安。一方、優秀な社員で、「企業内で出世するよりも、ベンチャーや起業で活躍したい、新しいキャリアを踏み出したい」と思っている人材は、絶好の機会だと手を上げます。悩ましいですね。

政府の指導があり、企業は雇用延長に取り組んでいます。65歳まで、定年延長や再雇用を制度化している。希望すれば、年金受給まで会社に居残ることができます。他方で、今回の例のように早期退職者を優遇する制度や施策が展開される。継続雇用と代謝促進の逆方向の取り組みを同時進行しているわけです。従業員からすると、キャリアの選択肢が増えるので悪いことではありません(退職勧奨されると厳しいですが)。

これから私たちはキャリアをしっかり考える時代です。日本でも終身雇用は終焉しつつあります。年功序列はすでに実力主義に置き換わっている。新卒一括採用のメンバーシップ型雇用は、今後ジョブ型雇用に変転するでしょう。キャリアの軸や、専門性がますます重要になってきます。自由労働市場で自分が通用するのかを、常に考えていたいですね。

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