短期と長期のリーダー

中国共産党が40年ぶり3度目の「歴史決議」を採択しました。党の歴史を総括する決議です。習近平総書記(国家主席)が権威付けと長期体制確立のために断行した要素が色濃いようです。建国の父・毛沢東が1945年、改革開放路線の鄧小平が1981年に歴史決議しています。この二つは、党内の権力闘争に区切りを付けて、中国の進路を決定づけました。それ以前のやり方を批判しているわけです。これに対して、現在は習氏一極体制で、政治路線の対立は見られません。それなのに、決議を実行するのは、「総書記は2期10年で引退」という慣例を破り、3期目以降の長期体制を確立する上で必要だと考えているからのようです。現在の中国の強国路線は、欧米との対立や貿易摩擦を招き、国内では経済減速や貧富の差が顕著で、国民の不満は高まっています。なかなか難しい局面ですね。

さて一般企業でも、トップの任期は、短期と長期でそれぞれ長所短所があります。上場企業は短期になり、非上場企業は長期になりがちです。上場企業の一般株主は、株価上昇、高配当、急成長を期待するので、どうしても短期視点で経営を監視します。社長はそれに応えなければならない。種まきばかりしていて収穫できなければ、株主は納得しない。それが経営にも反映され、ROI(投資に対するリターン)が重視されます。長期計画も大事ですが、どうしても単年度計画が優先されるのです。結果、業績の善し悪しに従ってトップが頻繁に交代することがおきます。長期視点で安定的に経営することが難しい環境なのです。

これに対し非上場企業は、長期体制になりがちです。世の中のほとんどを占める中小企業は、譲渡制限付きの株式で非公開会社です。社長が頻繁に交代するなんてありません。当然長期の経営体制になります。資金繰りに苦しむ自転車操業は別として、長い目で安定的な経営を考えることが可能です。単年度赤字が多少あっても、ぶれずにビジョン・戦略を追求できる。その反面、独裁になるリスクがあります。結局社長の力量次第になってしまう。大手の非上場企業でも同じです。長期で安定的に経営の舵取りができるメリットがある一方で、独断経営でガバナンスが効かなくなるデメリットがあります。以上は、上場・非上場での区分ですが、当然それだけに限りません。社内(部・課)のリーダーでも、その在任が長い場合と短い場合、それぞれの長所短所をよく理解して組織を運営したいですね。

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