課題設定の重要性
昨夜NHKスペシャルで大谷翔平選手の特集を見ました。ここで彼の活躍を紹介する必要はないでしょう。番組からの気づきを書きたいと思います。私が感じたのは「課題設定の大切さ」です。大谷選手が今年大ブレイクした秘密はなんでしょう? 私は「今までの地道な努力が開花したのだろう。メジャーのスピードやパワーにも慣れたのだろう」と漠然と想像していました。そのとおりではあるのですが、もっとロジカルにやっていたので驚きました。
大谷選手は二刀流の課題を、投手と打者でそれぞれ明快かつ具体的に設定していました(本人は課題という言葉は使っていません)。投手の課題は、「制球力をつけて球数を減らす」。打者の課題は、「飛距離を伸ばす」。投手の課題を解決するためにカットボールをマスターし、打者の課題を解決するためにバレル率を上げました。理にかなっているし、具体的です。戦略的で驚きました。投手としての大谷選手はコントロールに難があり、四死球、球数が多かった。しかしカットボール(速くかつ微妙に曲がる)を覚え使うことで、打たして取ることができるようになりました。四死球は激減し、球数も減った。最後の登板も無四球です。次にバレル率。打球速度と打球角度の最適な組合せです。打球速度158km/h以上で、26~30度の角度で打つ。これで長打率が格段に上がるそうです。とんでもないアッパースイング。背筋等に過大な負荷がかかるので、日本人には無理だと言われていた。しかしこのバレル率(実際の割合)が大谷選手はMLB30球団でトップでした。結果長打率が爆上がりした。
私が好きな言葉に、「理屈で商売はできないが、成功した商売には必ず理屈がある」というものがあります。昔上司がよく言っていました。スポーツもビジネスも同じだと思います。正しい課題を設定し、理にかなった具体的解決策を立案し、試し評価し修正する。これPDCAです。そして最も大切なのがプレPDCAの「正しい課題設定」。大変参考になりました。しかし、番組を見て「すごいな」と思ったのは、大谷選手の原点です。それは「いっしょうけんめい」ということ。課題を設定して、一生懸命努力して、野球を楽しむ。ちょっとうらやましい大谷物語でした。