ピンチをチャンスに

回転ずしの「スシロー」が好調です。新聞に水留社長のインタビュー記事が載っていました。私もたまに行きますが、「安くて大衆的な典型的な回転ずし」という印象でした。しかし記事を読んでかなりイメージが変わりました。感染症不安で外食産業が苦境に陥っている中で、売上高は前年比20%と大きく伸び、最終利益は過去最高を見込んでいます。社長の水留氏は、東大理学部卒業、電通→コンサル会社→日本航空副社長→ワールド取締役→2015年からスシローのグループ会社社長を担っています。この人の推進力がすごい。

スシローは、外出自粛・在宅勤務によるテイクアウト・宅配需要の急増に、素早く対応しました。スマホ注文品を非接触で受け取れる「自動土産ロッカー」、持ち帰り専門サービス、自動案内/自動会計、などを立て続けに導入しています。ウーバーイーツとの連携も強化。従来から人手不足問題解決のために取り組んでいたことを爆速で展開。こういった努力で既存店の売上は前年プラスを維持しており、そこに新規店分がオンしています。店舗数は現在の約600店を800店以上に増やしたい、としています。店舗運営だけでなく、商品そのものの改善にも力を入れている。高品質・低価格のために養殖の進化に挑戦。ITやゲノム編集などを活用しようとしています。

どうやら、頭でっかちで正論先行の「ベキ論コンサルタント」ではないようです。構想力と推進力がすごい。客観的なコンサルから、実際の事業経営に乗り出した成功例です。なんでそれができたの? 水留さんは「日本航空時代に、『人を動かす力』を稲盛さんから学んだ」と言っています。どうしたら社員が一生懸命働くのか。稲盛さんの隣に座って仕事をしながらそれを学んだとのこと。大きな転機だったんですね。

「ピンチをチャンスに」とはよく言いますが、簡単ではありません。かっこいいこと言わずに、まずは「目の前の火消し」が大事。それで精一杯の人がほとんどです。しかし中には本当にチャンスにする人がいる。水留さんは、「都心部で撤退する飲食店が相次いで、平時なら難しい好条件の場所に出店する好機」と考えています。いきなりマネはできないけど、こういった意識は持っていたいですね。

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