リスクマネジメント

三菱電機で不正検査が行われていた問題で、トップ二人が相次いで辞任しました。調査報告書は、社風を「現場あって会社なし」と指摘しています。従業員が現場の都合を重視して本社に不正情報が上がってこない「断絶」があったといいます。現場は本社を信頼せず、情報を上げない。本社はそれを見抜けず、現場を助けない。それを改善する人事制度になっていない。結果として、現場が不正を隠し、本社機能不全の状態が続いていました。

プリミティブですが、重要な経営問題です。程度の差はありますが、どの企業にもよくある課題。三菱電機は程度が大きすぎるし、放置が長すぎる。本質的には、子どもが親に怒られたくないから、悪さを隠すのと同じだと思います。報連相、事実の可視化、コミュニケーション、企業風土など、多くの教訓がありそうです。三菱電機は、元々技術に優れた「働くには良い会社」というイメージを私は持っていました。実は東芝にも同じような印象をもっていた。内外のそういった印象が、現状の悪い習慣を続けることにつながったのかもしれません(勝手な想像ですが)。三菱電機は、部門間の異動も少なく、現場組織は硬直化し、本社・現場の断絶が強まったようです。

これはリスクマネジメントの問題です。一般的には①客観的な推進部門、②基本的な職務分掌、③定期的なジョブローテーションが必要です。これをベースとし、問題顕在化の前にリスクを識別する。「このままだと、こんな確率(%)でこんな影響(円)が発生する」という想定です。三菱電機の例だと、「このまま不正を放置すると、事故・告発が発生し、企業ブランドを著しく毀損する」ということ。前提部分の対策としては、①品質管理部門や内部監査部門の権限強化、②指示・実行・報告・記録などの分掌、③定期的な人事異動(現場⇔本社)などが考えられます。三菱電機は、①品質部門軽視、②現場クローズ、③人事硬直で、すべて不十分です。他社を批判するのは簡単ですが、自分を改善するのは難しい。リスクは顕在化すると被害甚大ですが、潜在段階では実害がないので「言ったもん負け」文化になりやすい。三菱電機の問題を教訓にして、自組織についても総点検する必要がありますね。

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