意思決定のスタイル
中国の不動産大手「中国恒大集団」の経営危機が、世界市場に波紋を広げています。恒大は多額の借金によるマンション開発・大量販売で急成長しました。事業の多角化にも乗り出している。しかし過剰な債務が重荷で業績が悪化。拡大路線が行き詰まって資金繰りが難しくなっています。負債総額は33兆円。もし経営破綻すると、請負業者の連鎖倒産・大量失業、物件引き渡しの滞り、投資家の損害、株式市場の混乱など影響は甚大です。これに対し、習近平国家主席は、貧富の格差縮小「共同富裕」をスローガンに掲げており、恒大の救済には消極的なようです。中国政府の安易な救済は富裕層優遇との批判を招きかねず、倒産させれば社会不安につながる。習政権は板挟みの状態です。
今回の出来事は世界経済に影響を与える極めて大きな問題ですが、日常の仕事でもこの「板挟み」の状態によくなります。いわゆる「トレードオフ」。あっちを立てれば、こっちが立たず。メリットとデメリット。プロス&コンス。こういうとき、仕事ではどう意思決定するでしょう。大きな組織でも小さな組織でも、意思決定するトップにはスタイルがあります。①自己の価値基準に従って自分で決める、②さらなる上司の意見を聞いてそれを尊重する、③メンバーや関係者の意見を参考にして判断する。こんな感じでしょうか。一般的には①②③全部です。上下左右の意見を聞いて、最後は自分で決める。当然ですね。
ただしこの3つにはグラデーション(強弱)がある。その程度が、各組織トップのリーダーシップスタイルを形作ります。①は、偏りがちで強引だけど、頼りになる。②は、頼りないけど、現実的に組織を守れる。③は、妥協的だけど、落としどころに賛成できる。もちろん、同じリーダーでも状況や程度によって、その強弱は変わります。仕事で意思決定は日常茶飯事。特にリーダー、マネジャーの言動にはメンバーも注目しています。それを気にしすぎることはないですが、責任感は大事。テキトーにしないで、しっかり意思決定したいですね。