リーダーの胆力
エコノミストオンラインに「部下が大変な過ちを犯したとき、上司はどんな態度をとるべきか」という記事が掲載されています。商品の原材料表示にミスがあり、回収騒ぎになった時にとった部長の態度が書かれています。実はこの記事でミスをした部下の一人が私です。取材を受けて話した内容が載っています。部下が大きなミスを犯したとき、上司はどういう態度を取るか。通常のミスなら、まず緊急対応し、根本原因を分析して再発防止策を講じます。ミスした本人には反省を促し、同じ過ちを繰り返さないように指導する。しかし大きなミスを犯した場合はどうでしょう。下手をするとミスをした人材は潰れてしまうかもしれない。
ここで上司の胆力が見えます。ミスした本人と距離をとって自己防衛を図るか、強い当事者意識をもって、自分を含めた大きな枠で考えるか。このオンライン記事の上司は後者です。しかも会社と喧嘩しても、部下と一蓮托生になった。すごい人です。「世の中にはこんな人もいるんだ」と思いました。リーダーのスタンスは修羅場の時こそ、よく見えてきますし、チームメンバーはそれを敏感に感じ取ります。しかし、その場をとりあえず上手に納め、かっこよく演じても、周囲には響きません。日頃からの言動や、みんなに伝えているメッセージが大切です。この上司はよく「もうルビコン川を渡ったんだ」と言っていました。胆力がすごかった。会社を卒業した今でも深く感謝しています。