企業風土

日本製鉄が、ハイブリッド車の特殊鋼材の特許権侵害について、トヨタ自動車に引き続き三井物産も提訴しました。中国の宝山鋼鉄が「無方向性電磁鋼板」の特許権を侵害して鋼材を生産し、トヨタがそれを使ってHV車を販売、三井物産がその取引にかかわっていたということです。日本製鉄にとって、トヨタは主要取引先、三井物産は共同出資で鋼材商社を運営するなど関係が深い。すごい決断ですね。「何がどうあろうと、特許侵害は許さない」とう強い姿勢を打ち出しています。骨があるというか、硬いというか、さすがは(?)製鉄会社です。

日本製鉄は、日本最大手の鉄鋼メーカーで、世界規模も3位です。新日本製鐵と住友金属工業が2012年に合併して新日鐵住金になり、2019年に日本製鉄に社名変更しました。創立は1950年の八幡製鐵になります。売上4兆8千億円、総資産7兆5千億円、グループ従業員は10万人を超えます。巨大企業ですが、2021年3月決算では、純利益が赤字になっている。売上30兆円/資産52兆円のトヨタと、売上8兆円/資産12兆円の三井物産に、噛みついているわけです。社風は「体育会系」。会長(柔道)も社長(ラグビー)も体育会出身です。社員も体育会出身者が多いそうです。器が大きい、面倒見がいい、厳しい、前向き、行動重視、スケール感・・・。筋を通す社風が感じられますね。負けず嫌いなのでしょう。

一方、三菱電機のように品質不祥事が発覚して大混乱している会社もあります。「上に物言えぬ風土」が染みついて、正しい筋を通すことが出来なかった。日本製鉄のように、大きな相手にも臆せず噛みつくような企業風土はなかったということでしょう。日本製鉄のアクションを応援しているわけではないし、トヨタと三井物産との関係悪化も懸念されますが、なんか気持ちのいい印象を持ちました。企業風土は短期で出来上がるものではありません。長年の積み重ね。風土改革に取り組む企業は多いですが、単なる言葉遊びのスローガンで終わらせず、しっかり基盤固めする取り組みを開始してほしいと思います。

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