意思決定の難しさ

「アベノマスク」が大きな話題になっています。8千万枚が在庫として残っているとのこと。元々2億9千万枚を調達していました(260億円)。マスクの品薄が解消され、現在3割近くが残っています。今までの保管費用は約6億円。しかも15%が不良品で、その検品費用に20億円以上を追加支出したそうです。保管業者は、日本郵便、佐川急便、日本通運と変転しています。介護施設などに配布しても、今のペースだと在庫消化に33年以上かかるそうです。どうやら廃棄しそうで、その費用も6千万円かかるらしい。野党からは世紀の愚策と批判されています。

どうしてこうなったのか? 「全国民に布マスクを配れば、国民の不安はパッと消えます」という安倍元首相の側近官僚の助言を受け入れたという説もあります。そんな簡単なやりとりだけではなかったと思いますが、どうだったのでしょう。安倍元首相は昨年4月に配布を発表しました。確かに当時はマスク不足で混乱していた。不織布マスクを医療機関に優先的に回し、一般市民には再利用可能な「布マスク」を繰り返し使用してもらうことで、需給バランスを調整するねらいがあったようです。しかし、マスクはサイズが小さくて不評、配布に時間もかかり、配布終了時にはすでに一般販売が回復していました。朝日新聞の世論調査では、81%が「役に立たなかった」と回答しています。

感染症の実態が不明で大混乱まっただ中での判断です。国民の不安を解消するために、迅速果断な決断をしたわけですが裏目に出た。日本が、海外事例がない中で最初に思い切った策をとるのは珍しいので、そこは評価したいです。当時、海外メディアも大きく報道しました。トップの意思決定は難しい。多くの関係者と議論を繰り返すうちに時間は過ぎていく。優先順位付け、シミュレーション、テスト/実験などを迅速に行い、時間がない中で最後は責任者が決断する。トップは「決める」ことが仕事ですね。

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