新しい時代の働き方
新聞にタニタ社長の谷田氏のインタビュー記事が載っていました。体脂肪計などの計測機器メーカーで、タニタ食堂で有名ですね。この記事の中で注目したのが、業務委託契約の仕組みです。希望する社員はタニタで働きながら、個人事業主に移行できる制度で、2017年に導入しました。委託業務をきちんとできれば、時間に拘束されない。会社員とフリーランスのいいとこ取りを目指しているそうです。主体性を持ってスキルアップしながら働き、経営者と対等な関係を結ぶ。首切りではなく、頑張りたい人に応える仕組みで、委託業務の範囲や報酬などは明確に定めています。優秀な人材がターゲットのようです。
これは谷田社長の「前例はないが、絶対に必要な取り組みだ」という強い思いで実現しました。これまでに約30人が手を上げていて、みなさん充実しており、総じてうまくいっているそうです。いいですね。なかなかできない経営判断です。段階的な人材流出につながりそうで、引き留めも難しい。特に将来の幹部候補が会社を離れるリスクを心配してしまいます。しかし谷田社長の問題意識や志はもっと高いようです。「会社自身が優秀な人材に選んでもらえるようになる」と言っています。なかなかできる発想ではありません。すごいです。
これからは、自分のキャリアを自分で切り開く時代です。その選択肢の一つがフリーランス(個人事業主)。アメリカのフリーランスは労働人口の約35%、1/3以上です。これに対して、日本は7%程度。終身雇用が大きな要因ですが、昨今状況が変化しています。DXの進展で、IT人材を中心にフリーランスの需要が高まっている。内部社員だけではまかないきれない状況です。兼業・副業解禁の流れもあり、労働環境も整いつつある。しかし、いざ独立するとなると、「本当にお客さんを獲得できるのか?」というのが心配です。IT人材以外の方は特に不安が大きいのではないでしょうか。そんな時、タニタのような業務委託制度があると大変助かります。一定の仕事が確保できていると、経済的にも精神的にもありがたい。そこが魅力だと、就活でタニタを志望する学生も増えるのではないでしょうか。これからの時代、キャリアを大きくとらえて働きたいですね。