リーディングスキル
社会人になって会社で働くようになると、国語力の重要性が身にしみます。複雑な事象を言語化・文章化して、正確にわかりやすく相手に伝える。仕事は伝達や依頼の連続です。一人で完結できることは限られています。このアウトプットの前提として、自分がまずインプットできなければならない。多くの情報、資料、文章を視る、読む、理解する。さらに解釈する、推論する。必然的な正解があるものも、全く正解がないものもあります。読む・書く・話す、の基本は、「読む」。自分が読めない(理解できない)ものは、書けないし、話せない。英語学習が象徴的です。読んで(リーディング)理解できないものを、聞いて(リスニング)理解することはできません。
「教育のための科学研究所」という社団法人が、「リィーディングスキルテスト」という「文章の意味を正確に捉える力を測定するテスト」を実施しています。その報告会で小学1~6年生約3000人の調査結果が報告されました(2020年夏と冬)。提示された文章をできるだけ早く正確に書き写す「視写問題」、短い文章を読んで必然的に言えることを選択する「推論問題」、文章を読んで問いに答える「読解問題」などを解いています。結果は全体的に上昇(第1回→第2回)。感染症拡大防止環境の中でも基礎スキルは維持・向上できているようです。有識者は、「成績が低く、スキルが不足している児童は、そのまま低い状況で取り残される可能性が示唆された」と分析しています。その上で、つまずいている子どもが取り残されないような授業・教育の重要性を説いています。
リーディングスキルは、子どものころからの積み重ねです。読書が好きな子は楽ですが、そうでない子は国語の授業を真面目に受ける必要があります。知識が役に立つか立たないかではなく、スキルをつけるための訓練なのです。国語教育は全ての基礎になります。そうは言っても、「国語の授業が大好きだ」という生徒は少ないでしょう。先生たちには、好奇心をかき立てるような魅力的な授業の工夫をぜひ期待したいです。