人材開発

よく人材育成、能力開発のご相談を受けますが、あらためて「人材開発」について考えてみたいと思います。人材開発というと、すぐに「研修をしよう」という発想になりがちですが、まずは全体像を理解したいです。理想を考えます。人はどうやって成長するのか? 会社員という前提なので、成長の原動力は、日々の仕事の充実感です。そこで大切なのが、「貢献実感」と「成長実感」。「自分は、組織・会社・世の中に貢献している」と実感すると、成長につながる。成長するとさらに高いレベルで貢献できる。好循環です。そしてそのベースになるのが経済的報酬。まずは、この貢献・成長のエネルギーが必要です。

このエンジンを駆動するためには、会社全体のダイナミックな動きが重要になります。経営計画、評価制度、賃金制度が連鎖するのが理想です。目標も会社、チーム、個人でつながっている。そのPDCAが、会社全体、チーム、個人でぐるぐる回っている。その成果(貢献)、能力(成長)が可視化されることで、さらなる上昇エネルギーが生まれます。その上で、弱点を克服したい、強みを伸ばしたい、という特定部分に「研修」を補完的に打ち込み、テコを効かせます。さらに、日常業務ではプロセスそのものを成長につなげる意識を持つ。「入力→処理→出力→フィードバック」の流れを、らせん状に上昇回転させる。その上昇幅が成長。軸になる能力は、「思考力×行動力」です。

人材開発は一律ではありません。年齢、経験で開発のステップがある。まずはビジネスパーソンとしての基礎リテラシー(マナー、報連相、文書作成等)が必要です。そして経験が浅いうちは、業界や職種の専門知識・スキルを習得する。その後、行動力を鍛えつつ思考力を高めます。最後は人間力の勝負。いきなり、全ての能力が全開することはありません。以上は理想です。すごいですね。こう上手くはいきません。しかし理想を知っている必要はある。乖離を把握して、手を打っていきます。冒頭に戻りますが、いきなり研修を実施しても本質は変わりません。一時的な学びにはなっても、なかなか定着しない。だから、理想像とのギャップから、取り組みをしっかり考える。人材開発には時間がかかります。人の育成は難しいですね。

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