成長の極意
将棋の藤井聡太さんが、史上最年少四冠を達成しました。19歳3か月。棋聖、王位、叡王、竜王です。竜王の豊島さんには初対局から6連敗し苦手としていましたが、最近は互角以上の勝負を行い、今回の竜王戦では見事に4連勝しました。すごい成長ですね。年少者が頑張っているというニュースは多いですが、年少者が頂点を極めるとは驚きです。今や藤井4冠と渡辺明3冠の2強状態。藤井さんは王将(渡辺明)にも挑戦中で、5冠も視野に入れています。1強時代の予感もありますね。
以前ブログにも書きましたが、藤井さんはゆとり世代。ゆとり世代は柔軟で自由ですが、一般的に競争意識が弱い傾向にあります。でも藤井さんは子どもの頃から大の「負けず嫌い」。ゆとり×負けず嫌い、これが実力の基盤のような気がする。現在の藤井さんの強みは、「速く深い読み」と言われます。これは才能もありますが、努力もすごい。詰将棋を解き続け、新聞の観戦記を熟読し、コンピューターソフトも活用する。伝統と現代を融合させている新しい力が、将棋界そのものを盛り上げまくっています。その妙手はAIも超えている。AIは1秒で数千万手(!)を読みますが、叡王戦で藤井さんはそのAIが示していなかった手を1分で指し、決め手としました。AIはその指し手を分析し、かなりの時間をかけて最善と判断しました。異次元の強さですね。
この「速く深い読み」に至った藤井さんの「成長の極意」とは何でしょう? 私の勝手な解釈ですが、①将棋が好きなこと、②負けず嫌いなこと、③集中できること、この3だと思います。①はここでの解説は不要でしょう。②には触れました。③については、「将棋のことを考えながら歩いていて、何度もドブに落ちた」というエピソードが有名です。ちなみに羽生さんも、「自分は将棋に集中すると周りが見えなくなるので、危ないから車は運転しません」と言っています。私たちがプロ棋士を真似するのは難しいですが、再現性を感じられる部分もあります。①興味、②競争、③集中。自分の仕事に興味・愛情・誇りを持ち、社内外の競争相手に建設的に挑み、勝負所で集中する。自分もそんな力をつけたいと感じました。