長期的な環境対策
本日からCOP26が英国で開催されます。国連の気候変動枠組み条約の会議で、地球温暖化対策を議論します。最大の論点は、「今世紀末までの世界の気温上昇幅を、産業革命前の+1.5度に抑える」というバリ協定(2015年)の目標に、実効的な対策をとることで合意できるかどうか。日本を含めた多くの国は、2050年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)を宣言しています。焦点は、世界の約3割を占める最大の排出国、中国の動向。中国は2060年のカーボンニュートラルを目指している。他の先進国は、中国のさらなる目標引き上げを求めています。注目ですね。
産業革命という言葉が出たり、30年後の目標だったり、非常に長期な活動です。自由競争、規制緩和という流れの中で、逆に規制を強める動きなので、足並みをそろえるのは難しい。COPは、1992年に気候変動枠組み条約を採択(COP1)。97年京都議定書(COP3)で、先進国(米国やカナダを除く)に温室効果ガス排出量削減が義務化。その後中国の排出量が増加。2013年に日本とロシアが枠組みから抜ける。2015年COP21でパリ協定を採択し、全加盟国に削減目標提出を義務化。米国も共和党と民主党での政権交代で、スタンスが揺れ動きます。中国の態度は相変わらず微妙。
長期の課題というのは本当に難しいですね。特に環境問題は「神の見えざる手」に任せることはできない。政府が強い規制を長期に渡ってかけ続ける必要があります。長い目で見ると安全対策ですが、防災とは違い切実感は薄い。経済発展が優先されがちです。ビジネスでもよく、「重要な課題>緊急な課題」という優先度が取り上げられます。トップは、緊急課題は任せ、なるべく重要課題に取り組むべきだという教え。強いリーダーシップが必要です。しかし、短期が順調だから長期を考えられるというのも事実。目の前で火が燃え広がっているときに、「消防士を育成しましょう」という議論はナンセンスです。短期と長期を両方考えられる、両方行動できる、そんな力が求められる時代です。