心理的安全性の大切さ
若者が安心して過ごせる「居場所」をつくる動きが各地に広がっています。若年無業者(就労・通学・家事をしていない15~34歳)は60万人を超えている。すごい数です。家庭事情、いじめ、人間関係の悩みなどで、孤立する若者が増えています。心身のバランスを崩して、自宅から出られない人が多い。そんな若者をサポートするために、NPO法人や自治体が「居場所」をつくっています。高校内カフェ、青少年交流センターなど。しかし、資金の安定的な確保に苦労しており、活動を維持していくのは簡単ではないようです。
「居場所」は大切です。安心できる家族、心を許せる友だち、信頼できる教師、先輩後輩。良好な人間関係がある場です。当然ですが、居場所と言っても単なる物理的な空間ではありません。独りで引きこもっている個室とは別。心を穏やかにできる、ストレスの少ない場所、人間がいるコミュニティです。
様々な事情により社会との距離ができてしまった若者対策。そう外側から客観視している場合ではありません。決して他人ごとではない。順風満帆に社会に出てバリバリ活躍していた人でも、環境変化によって心身のバランスを崩すことは珍しくありません。狭い意味ではなく、広義の「居場所」という視点は大切です。それを深めると「心理的安全性」に行き着きます。「思っていることは、堂々と主張せよ」と言うのは正論ですが、それができないからみんな苦労している。同調圧力、異分子排除、恐怖政治などの風土が出来上がった組織にいると、心理的安全が低く、安心して自分を出せる居場所はなくなっていきます。オンオフの切り替えという言葉を盾に、仕事外に居場所を求めてしまう。環境を変える努力が必要です。提案、相談、異動希望、転職、などなど。
冒頭の若年無業者は、2020年に大きく増加しています。感染症による雇用危機が影響しているものと思います。さらに、非接触、在宅/リモート勤務などのムードも後押しているような気がする。社会全体で「居場所」「心理的安全性」を考える時期ですね。