イノベーションのスタイル

米アップルのカリスマ創業者、スティーブ・ジョブズ氏が死去して10年になりました。イノベーションの象徴のような人でした。その後のアップルは、CEOを引き継いだティム・クック氏のもとで順調に業績を拡大しています。元々クックは、ジョブズの右腕として実務を仕切っていた。就任時は、カリスマなき後の経営を不安視されていましたが、優れた経営手腕でそうした見方を払拭しました。時価総額は、就任時の6倍を超え、世界トップを走っています。様々な種類のアイフォンを投入して利用者は10億人に上り、アプリや動画配信など「ビジネスを拡大するシステム」を創り上げたと評価されています。

一方で画期的な製品を生む力(革新力)が衰えたとの声もあります。「最近、製品であまり挑戦していない印象を受ける」、「会社が大きくなりすぎて、新たなアイデアを育みにくいのではないか」などと言われています。アップルウォッチの発売、AR(拡張現実)や自動運転自動車の開発などを進めていますが、市場・顧客の期待はそれを上回るようです。

当然ですが、イノベーションは難しい。自由にできるときはよいですが、イノベーションそのものを期待されると、それにストレートに応えるのは簡単ではありません。そもそも「期待どおり」というのがイノベーションの概念に合いません。予想もしなかったものがイノベーションです。本来、それは製品に限らず、生産方式、顧客フォロー、組織設計、会社経営そのものも対象になります。でもBtoC企業は商品開発を期待されますね。クック氏はビジネスモデルのイノベーションに取り組んでいる印象です。

イノベーションのアイデアは、①既存アイデアの新しい組合せ、②異業界からのアナロジー(成功事例の他業界への応用)、③用途開発(既存技術の新領域への適用)、だと私は思っています。「携帯電話⇔コンピューター」という発想も①②③の範疇です。白紙からコンピューターを発明したわけではありません。学問/研究での発明と、ビジネスでのイノベーションの違いです。ジョブズにはとてもかなわないでしょうが、私たちも日頃から発想力を鍛えたいですね。

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