人事配置

岸田内閣の顔ぶれが固まりましたね。全20閣僚中13人が初入閣になり、若手を起用する一方、「老壮青」のバンランスを重視したのが特徴です。総裁選で掲げた若手抜擢にこだわりつつ、実務能力に定評のある中堅・ベテランの登用、主流派閥への配慮を欠かさない手堅い人選で、岸田カラーをにじませました。財務省出身の若手政策通の小林鷹之氏を起用して、同時に二階派との融和を図る。牧島かれん氏、堀内詔子氏の初入閣。茂木外相、岸防衛相の再任。「子どもへの投資」重視の野田聖子氏の少子化相登用。手堅く現実的で、バランスのとれた配置のため、批判が出ません。野党も「自民党は変わらない」をただ叫んでいる。チームワーク重視の岸田さんらしい陣容ですが、若手/女性登用等のメリハリも効いています。俯瞰的に見て安定感のある人事ですね。

一般企業でも参考になるかもしれません。会社人事の基本的な流れは、採用→配置→目標設定→評価→育成→異動/昇進→退職。それぞれに人事の仕事があり、担当者がいます。制度/労政担当、異動/評価担当、採用/教育担当。人事配置は異動/評価担当ですが、人事部の担当者が決めるわけではありません。実際に決めるのはキーマンです。「組織は戦略に従う」(チャンドラー)のように、まず事業戦略があって、それを実現できる組織設計・人員編成を考える。キーマンとは経営陣はもちろん、対象となる組織の長などです。

優れたキーマンは、「目指すビジョン→現実的な目標設定→ビジョン・目標を達成するための戦略→戦略を実現するためのあるべき組織→組織を構成する人材の要件(能力/経験/スキル)」をしっかり連鎖させています。そして最後は適材適所。べき論先行だと、若手抜擢、女性登用、多様性重視など、単なるスローガンやポーズになってしまいます。ポジティブアクションとしてある程度は必要ですが、配置の上手い下手がはっきり出ます。勢いだけで異動すると現場が混乱する。キーマンは各部署にいるので、部分最適にもなりやすい。それを調整するのが人事部であり、全体最適で意思決定するのが経営陣です。

人の問題は、お金や設備のように合理的にはなかなか解決できません。論理的思考で結論が出せるわけではない。おそらく将来も、AIが出した人事案などは使えないでしょう。全体を見る鳥の目と、現場を見る虫の目の両方が必要だと思いました。

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