シニアの戦力化

今日は敬老の日です。それに合わせて総務省が65歳以上の高齢者の推計人口を発表しました。総人口に占める高齢者の割合は、前年比0.3ポイント上昇して29.1%になり、過去最高を更新しました。国連の調査では、高齢者の割合は日本がトップ、2位がイタリア(23.6%)、3位がポルトガル(23.1%)です。

今年4月から、65~70歳の就業機会確保が企業の努力義務となりました。新聞社の調査によると、「取り組んでいる」が約3割、「検討している」が約6割でした。65歳以上の雇用促進の課題は、「本人の意欲の維持・向上」、「賃金人事制度の設計」、「健康管理」、「仕事の確保」、「能力開発」の順。私の実感からすると、65歳以上どころか、55~65歳でも各企業は相当苦労しています。特に、「シニア社員の仕事の確保と、それに対する本人の意欲」が課題だと思います。意欲は本人だけの問題ではありません。どんな仕事をしてもらうのか、その整備が意欲に直結します。労使双方で解決すべき重要な課題なのです。

「努力義務」というのは「様子見」。しかし早めに本気で検討を進めないと、シニアが戦力どころか、経営の負担になってしまう。経営課題そのものです。従来は、「定年引き上げ」「定年廃止」「継続雇用制度導入」の3つが選択肢で、そのほとんどが継続雇用制度でした。今は、「継続的な業務委託契約」など、雇用契約を結ばない方法も認められています。今後は個人ごとに柔軟で多様な働き方を模索し、「シニアの戦力化」に取り組む必要があるでしょう。受け身の法律対応ではなく、経営戦略として考えるのが理想です。正論で難しいですが・・・。

読売新聞の調査は主要企業121社を対象にしています。回答企業の顔ぶれを見ると、そうそうたる大企業です。しかし世の中のほとんどは中小企業。人手不足に悩む中小零細に比べて切実さがないのかもしれません。「シニアの戦力化」は、中小企業からベストプラクティスが出るに違いない。努力義務に様子見の大企業は、それを大いに参考にしていただきたい。「イノベーションは辺境から」、このよく聞く言葉が、まさに当てはまる気がします。

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