トレードオフ
先日、2回目のワクチン接種をしました。そのとき「ワクチン予防接種済証(臨時)」というものをもらいました。飲食店や理髪店では、店頭に「スタッフはワクチン接種済です」という表示がある場合もありますね。
フランスでは、病院入場、航空機利用、飲食店入店、イベント参加などで、ワクチン接種の証明書提示が義務付けられています(衛生パス制度)。違反者には罰金が科されます。ワクチン未接種の人は、PCR検査陰性証明が必要とのこと。この取り組みには当然メリットとデメリットがあり、その上でのマクロン大統領の判断です。メリットは接種比率の拡大、デメリットは接種強制だという批判。運用後、若者を中心に接種申し込みが急増して、全人口の接種率は6割になっています。世論調査では、過半数が衛生パス制度に賛成しているらしいです。
想像ですが、日本では「接種強制だ。未接種者の排除になる」などの批判が非常に強いでしょう。フランスのようにはできそうもありません。しかし、もう少し現実的に証明書を活用して、生活・経済の復活、医療現場負担軽減につなげることができるかもしれません。
このケースに限らず、世の中(仕事・生活)にはトレードオフというものがあります。仕事で何か新しいことをやる場合は、必ずメリット・デメリット(プロコンとも言う)の事前評価を求められる。起案者はその上で、結論(リコメン)を提示し、組織合意します。日本はこの組織合意カルチャーが強いので、なかなか決まらない場合がある。小田原評定という言葉もあります。「もし何かあったら、誰が責任をとるんだ?」というムード。しかし、こんな時代では、強いリーダーシップが必要です。リーダーがトレードオフを認識して、迅速に判断する。問題が発生したら責任をとる。「胆力」が必要なときですね。