デジタル化
9月1日にデジタル庁が発足します。菅内閣の看板政策の一つですね。日本はデジタル後進国で、特に行政手続きのデジタル化が遅れています。OECDの調査によると、日本の行政手続きのオンライン利用率は、19年時点で7.9%で29か国中最下位だそうです。何もしなかったわけではなく、2003年に住民基本台帳ネットワークを稼働しました。しかし住基カードの普及は進まず(普及率5.6%)、2015年に発行を終了。これに替わって2016年からマイナンバーカードの運用が始まりました。普及率は37.4%ですが、まだ順調とは言えないようです。
デジタル庁成功のカギを握るのは、このマイナンバーカードの普及と利用促進です。税、社会保障、災害の3分野の活用ですが、10月からの健康保険証としての本格運用が目玉。今後は運転免許証との一体化や、スマホでの行政手続きなども計画されています。生活者が便利になるなら大歓迎です。デジタル庁は省庁なので、やはり行政手続きの改善が中心のよう。当面は「マイナンバー庁」といった印象で動きそうですね。
デジタル庁に限らず、DX推進など世の中はデジタル化が急加速しています。IT人材を求めている会社も多く、同時にデジタル関連の組織改革も進んでいるようです。新たに「デジタル〇〇部」などが新設されている。ここで大事なのがそのミッションの明確化です。なんとなく設立して、「会社のデジタル化を一元的に推進する」という漠然としたミッションではうまくいきません。お客様に対するITサービスなのか、社内のシステム開発なのか、WEBマーケティングなのか、情報関連の社内調整役なのか・・・。デジタル庁は当面「マイナンバーカードの普及と利便性向上」というのが、やや狭いですがわかりやすい核ミッションです。デジタル化を宣言するのは簡単ですが、単なるスローガンで終わるリスクもあります。あたりまえですが、戦略を明確にして、活動計画を具体化する。その上でそこに、新規人材を募集・配置する。デジタル化は頓挫することが多いので、十分留意したいですね。