高速ビジネス実験
新聞に、バンダイナムコホールディングスの川口新社長のインタビュー記事が載っていました。ご存知、おもちゃやゲームの会社です。巣ごもり需要で、売上高、営業利益ともに過去最高を実現し、業績好調です。そして「機動戦士ガンダム」関連事業は、何十年も右肩上がりだそうです。川口社長は、「米国人は文化的にプラモデルを作らないという思い込みがあったが、大型スーパーで商品を並べる棚を確保すると、かなりの勢いで売れる。マーケティングのやり方次第だ。何がヒットするのか、出してみないとわからない」と語っています。これを読んで、これからは「高速ビジネス実験」がますます重要になると感じました。
ビジネスの成長や人材育成にはPDCAが不可欠です。従来PDCAは「計画→実行→確認→改善」と訳されてきました。これは訳が悪いので、誤解されています。正しくは、「計画→実行→評価→修正」です。特に確認を「やった、やらないのチェック」と理解している人が多い。しかしそれはDO。実行した効果を測定する「評価・分析」がCHECKです。不透明な今の時代、このPDCAのサイクルが、ますます小さく速くなっています。「仮説→実験→評価→修正」です。元の訳からは全部変わっちゃいましたね。そうです。これからは仮説を、すぐに小さく、実際のビジネスでテストする必要があるのです。「高速ビジネス実験」です。
ネスカフェアンバサダー、花王のヘルシア、メガマックなどもテスト販売を経て発売し、ヒットしました。「テスト販売はしてないけど、企画案は事前に消費者調査をしてから発売してるよ」という声が聞こえそうです。でも調査と実際の販売は全然異なります。消費者の「今」の頭の中で、今ないものを想像するのは難しいのです。実際、ウォークマン、ミニバン、ポストイットなどの消費者事前調査の結果はボロボロだったそうです。
米国ガンプラの例でもそうですが、思い込みが行動にブレーキをかけている場合があります。クリティカル(健全な批判精神)に考えて、仮説を立て、それを速く小規模にテストしましょう。これからの商売は、「高速ビジネス実験」がカギを握りそうです。