仕事のコツ
電子書籍で面白い本を読みました。「もっと早く、もっと楽しく、仕事の成果をあげる法」。著者は古谷昇氏で、元ボスコンのコンサルタント。出版は2004年と古いですが、参考になる部分が多いのでご紹介します。本のエッセンスを一言で言うと「仕事にはコツがある」ということ。コツとは細部の知識やテクニックではなく、「本質をとらえたノウハウ」という感じです。
例を上げます。小学生が体育の授業で跳び箱を跳ぶ。できる子はすぐに跳べるようになるけど、できない子は何度やっても跳べない。すると先生が指導します。「もっと助走を速く!」、「踏切はこの辺!」、「練習回数が全然足りない!」など。一見正しそうですが、実は経験的にそれらしく言ってるだけ。本質をついているわけではありません。本当に跳び箱を跳ぶコツを知っている人が教えると全く違います。どうするか?跳べない子に、はそれ以上同じ練習をさせないで横につれ出す。しゃがんで、足の間の床に両手を着けさせる。そして両腕で体重を支え、その感覚を覚えさせる。すると面白いように跳べるようになるそうです。これがコツ=本質をとらえたノウハウです。本質を掴んでない人に、ああだこうだ教えられると、ますます混乱するし、自信をなくして、運動自体を嫌いになってしまう。
日常業務も同じです。では仕事のコツとはどういったものでしょう。ずばり「弱みの克服」です。よく「弱みにこだわるな。強みを伸ばせ!」と言いますが、この言葉には違和感があります。これはベテラン社員にかける言葉。「あなたはもう弱みの克服は無理ですから、強みを伸ばしましょう」という意味に聞こえます。もちろん若いうちから才能のある強みを伸ばして、専門分野で一流を目指すのは「あり」です。芸術、スポーツ、学問・・・。理系特化、文系特化も頷けます。しかし生活、仕事、コミュニケーションで明らかに弱みがあるのに放置するのはもったいない。それこそ、コツを教えてもらえれば、霧が晴れるように解決するかもしれない。それによって選択肢が広がり、世界が広がるかもしれない。
もっと端的に言えば、弱みを克服する方が、強みを伸ばすより簡単なのです。40点を70点にする方が、70点を80点にするより、簡単だし伸び幅も大きい。前者はコツ→ジャンプアップ。後者は気合→ブラッシュアップ。よく考えていない「強みを伸ばせ」というアドバイスには注意しましょう。個人を見ないで、単なる一般論を言っている場合がある。ただし誤解のないように補足します。戦略の基本は「機会×強み」が第一優先です。ここで言いたいのは「弱みを放置したらもったいない」ということ。最初に戻りますが、仕事にはコツがあります。それは本質的ノウハウ。それを信頼できる人から伝授してもらいたいですね。