審美眼を磨く
昨年、美術検定2級を受験し、無事に合格することができました。1度落ちているので、2度目の挑戦でしたが、努力が報われてよかったです。美術と言うと趣味っぽいですが、以前広告や商品開発を担当していた私にとって、美術の知識は不可欠でした。今でも勉強は継続していて、その流れで受験しました。
西洋美術で私の好きな画家を紹介します。時代順に、ラファエロ(ルネサンス)→フェルメール(17世紀)→ターナー(19世紀)→モネ(印象派)→クリムト(分離派)→カンディンスキー(抽象表現)。フェルメールやモネなどはお好きな方も多いでしょう。これらの画家に共通するのは色彩表現の素晴らしさです。私自身は絵を描くわけではないですが、巧みな色の使い方にはとても惹かれます。
この色彩感覚、商品開発や広告の仕事以外でも活用できるでしょうか。私はこの感度は大切だと思っています。色彩表現のエッセンスをまとめます。①色彩分類:色は、色相(いろあい)、明度(あかるさ)、彩度(あざやかさ)の3つの基準で分類される。彩度とは原色への灰色の混ざり具合で、世の中に存在するほとんどの色は濁色(灰色が混ざった色)である。②色彩感情:色は、色相によって受ける印象が異なる。寒暖、軽重、硬軟など。③色彩調和:類似色を使うとまとまりができ、見やすい。その上で反対色(補色)をワンポイントで使うと強調が明快になる。④プレゼンテーション:ベースカラー70%、メインカラー25%、アクセントカラー5%。例)ライトブルー70%、ネイビー25%、オレンジ5%。加えて無彩色(黒・灰色)を使う。
以上を総合すると、資料を作る際は、ギラギラのビビッドカラーよりもやや濁色を使い、同系の色相でまとめ、灰色をうまく組み合わせる。こうすると見やすく、印象的になります。これはプレゼン資料だけではなく、WEB上でのサービス画面などにも応用できます。こういうスキルは、「ルールが決まっていればAIで自動化できるんじゃない?」と思うかもしれませんが、できたものの美醜を判断するのは人間です。AIには「美度」を測定できない。計算や文章などの代替が進んでも、審美眼は人間のみが発揮できる能力です。
よくありがちな光景:「デザイン案A・B・Cができました。どれがよいですか?」「・・・・・しーん」。みんな審美眼に自信がなく、プレッシャーなんです。でもビビる必要はありません。「私はこれがいいと思います」と言っちゃいましょう。審美眼を磨こう!