国語力を鍛える
今年から「大学入学共通テスト」が導入されました。共通テストは、昨年まで30年にわたり実施されてきた「大学入試センター試験」の後継試験です。私の時代は「共通一次試験」でした。共通テスト移行の背景は「高校・大学接続改革」です。環境変化の激しい時代に適応して自ら問題を発見し、他者と協力して解決していくための資質や能力を育む、というのが目的です。従来の知識重視のセンター試験から、知識を前提にそれを活用する「思考力・判断力・表現力」を重視する試験に進化しています。
実際、複数の資料やデータをもとに考察する問題が出ています。知識は前提で、さらに高度な思考訓練がいる。受験生はますます大変です。でも元々基礎学力を一次センター試験で評価して、各大学の二次試験で思考力を評価してたんじゃないの?最近は私立でも一次テストを採用する大学が増えているので、共通テストの段階で「進化」を狙っているのでしょう。例えば英語では、リーディング:リスニングが昨年まで8:2だったのが、5:5になった。時間あたりの英単語処理数、文章量も増えている。国語は複数の文章を総合的に考察する問題、数学はデータの解釈や会話形式問題も出題されました。
さて背景に戻ります。デジタル技術の進展、グローバル化、自然災害の多発、不透明な国際情勢などの社会環境激変に、迅速・柔軟に適応できる人材を育成する、というのが教育改革の柱。これは私たち会社員も同じです。知識のインプットは前提で、それをいかに活用して「思考力・判断力・表現力」を強化するか、これが人材開発課題です。そのために、まず基礎リテラシーと専門知識を習得する。そしてそれを活用して、日常の仕事で思考・判断・表現を鍛える。一人ではなく、仲間との議論、リーダーとの対話などが重要です。「そんなのわかってるよ」という声が聞こえそうです。ここで最も強調したいのは国語力の重要性。共通テストの科目でいうとまさに「国語」。英語も数学も理科社会も、基本になるのは言語です。現状を素早く理解して、思考して、表現する。仕事そのものですね。コンセプチャルスキルとは抽象化する能力で、その基本になるのは言語と数字。特に言葉・文章はコミュニケーションにも直結するので非常に重要です。相手に何かを伝える時は、一つ一つの言葉、文章、文脈を大切にする。読む・書く力=国語力を鍛えたいですね。