美術鑑賞で感性を磨く
昨年、美術検定2級を受験しました。前年も受けましたが不合格だったので2度目の挑戦。おかげさまで合格することができました。なぜ美術検定?私は以前、広告や商品開発の仕事を長く担当していました。クリエイティブやパッケージデザインを検討する際、「色彩や美術の基礎知識が必要だ」と強く感じました。それがないと、広告代理店のクリエイターやデザイナーの方と対等に議論できません。そんな問題意識で、まずカラーコーディネーター(3→2→1級)の資格を取得しました。そのうち広告業務からは離れ、全く別の仕事をするようになりましたが、色彩や美術についての興味・関心はむしろ高まっていきました。それで美術の勉強を継続し、美術検定に挑戦しています。
特に絵画が好きで、たまに美術館巡りをします。以前も書きましたが、お薦めの美術館は東京都美術館と国立新美術館です。最近では仏像にも関心があります。美術の勉強をしてると言っても、自分で絵を描くわけではありません。基本的な色彩知識と美術史(西洋・日本)をインプットしています。美術鑑賞するにも、ある程度、時代背景や流れがわからないと臨場感がないので。
昨年、作家の山口周さんの講演を聞く機会がありました。山口さんは主にビジネス書を執筆しており、代表作は『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』。私も読んでいます。内容は・・・これまでのような分析・論理・理性に軸足をおいた「サイエンス重視の意思決定」では、今日のように複雑で不安定な世界においてビジネスの舵取りをすることはできない。直感と感性、つまり「アートの時代」だ・・・という論考。なかなかレベルの高い内容なので、私たちがそのまま受け入れるには無理があるかもしれません。しかし合理的意思決定がAIに代替されるこれからの時代、他人事ではありません。
哲学などでよく言う「真善美」。認識上の真、倫理上の善、審美上の美。対比で言うと、真偽、善悪、美醜。これからはこの中の「美」を感じる感性が重要だと思います。「審美眼」と言ってもそんなに敷居の高いものではなく、自分が「いいなあ」と思えるアーティストや作品を見つけることで十分だと思います。絵画、彫像、工芸、音楽、文学・・・なんでもいいです。ちなみに私は印象派が好きです。色彩から入ると、どうしてもそうなりますね。今は難しいですが、たまには美術館に行って、好きな絵に触れるのは楽しいです。