ファシリテーション
以前書いた「心理的安全性」を少し復習します。例えば会議で「流れに逆行する意見」を自分が持っている時に、言えるか言えないか。これを左右するのが「心理的安全性」です。「建設的かつクリティカル(批判的)な意見を躊躇なく発信できるか」。この逆は、「いいね、いいね」の全員賛成(衝突回避)や、集団同調圧力などの「見た目だけ一致団結」。本音を恐れず発言でき、適切な緊張感の中で発想が広がる、それがよいチームです。
ビジネス雑誌にこんなことが書いてありました。オンラインのリモート業務が増えると、「心理的安全性」の重要度が増す。わかる気がします。相手の表情が見えづらい、要件だけを端的に発言する、感想レベルのリアクションを取りにくい。元々気心の知れたチームなら「関係貯金」があるので、ある程度は大丈夫ですが、転入したばかりだと、心理的安全性がまだ築けていない。なかなかクリティカルな意見は言えません。もちろん言っていいし、言ってほしい。
オンラインでも対面でも、そもそも人は4つの対人不安を持っているそうです。①無知、②無能、③ネガティブ、④面倒な人、そう相手や仲間に思われたくない。この不安が減れば、心理的安全性が高まるということです。ところがリモート環境だと逆に不安が増え、心理的安全性が低下してしまう。今後はプロジェクト型の仕事も増えていくでしょう。
ではどうしたらよいか。オンライン飲み会?いやいや、もっと日常業務でできること。会議ファシリテーションです。オンライン会議だと、へたすると1回も発言しない人も出てくる。「大人なんだから自分で積極的に参加しろよ」というのが本音ですが、なかなかそうもいかない。ここで会議進行役のファシリテーションスキルが求められます。大きな役割は二つ、①場のデザインと②合意形成。心理的安全性を高めるには、「場のデザイン」が特に重要。参加者のコミュニケーションを活性化する意識・行動が必要です。
テクニカルなことよりも、私は「丁寧な進行」が重要だと思っています。そのためには会議の事前準備がポイント。特に次の5つが大切です。①目的、②インプット(情報/資料)、③アウトプット(ゴール)、④参加者の期待役割、⑤時間配分。会議の主催者(進行役)がしっかり準備することで、参加者の理解が深まり、心理的安全性が増します。もちろん参加者自身が、主体的に発信しなければなりません。これからのオンライン会議、ちょっとした意識や工夫がその成果を左右します。それが個々人の成長にもつながる。リモート環境だからこそ、常日頃から心掛けたいです。