競争から共創へ

「天国と地獄の長い箸」というお話をします。地獄の食堂も、天国の食堂も満員。向かい合って座っているテーブルの上には、おいしそうなご馳走が並んでいる。どちらの食堂にも決まりがあり、それは「たいへん長い箸で食事をしなければならない」ということ。地獄では箸が長すぎて自分の口に食べ物が入らず、隣の人を突いたりして、いたるところで大喧嘩。一方天国では、みんなが穏やかな顔で食事を楽しんでいる。こちら側に座っている人が、向かいに座っている人の口に食べ物を運んでいた・・・。というお話です。

自分のことしか考えない→争い・奪い合い。他人のことも考える→秩序・平和。そんな図式です。人と人との心のつながりが、あるかないか。「人間は一人では生きていけない」ということですね。民族、国家、地域、家族でも、そしてビジネスでもそう。なんか正論な感じですが、これが難しい。だから世界で紛争が絶えないのです。その根底に「自分ファースト、〇〇ファースト」という考えが根強く存在する。ビジネスの世界では、高度経済成長から低成長の時代となり、パイの奪い合い、競争戦略が重視されてきた。いわゆるシェア争いです。これはこれで経済的な生存戦略としては正しいし、企業活動のエネルギーになってもいます。今現在でもそう。ファイテングポーズをとらないと、あっと言う間に後塵を拝する。しかし行き過ぎると顧客不在となり、社会的にはほとんど無意味なつぶし合いになってしまいます。

今、「時代は競争から共創へ」と言われます。具体的にはどういうこと?ライバル企業と協調せよ、というわけではありません。自前主義、秘密主義から脱しようということ。オープンイノベーションなどがよい例です。そして環境の激変もこの流れを後押している。現在は感染症不安で社会、経済が混乱しています。企業経営も混迷している。ANAが過去最悪の大苦戦で再建に向けた構造改革に取り組んでいる一方で、ソニーは過去最高益を出している。あっという間に差がつく先行き不透明な環境です。そんな時こそ、異業種との協働、お客様との共創、社会的連携が重要です。その上で健全な競争が必要。会社内でも同様です。自分、自チーム、自部門の枠を超えて、成果をガラス張りに見える化し、ノウハウを形式知化し、連携する。これを「べき論」で終わらせてはいけない。自分から知恵を出して、周囲を巻き込んでいきたいですね。

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