「できる」からスタートする

まず寓話から。昔、ある男が王の怒りを買って死刑を宣告された。男は王に命乞いをした。「王様、私に馬をお預けください。1年の猶予をいただければ馬に空を飛ぶことを教えましょう。それができなかったら私を死刑にしてください」。王はこれを受け入れた。囚人仲間は「馬が空を飛ぶはずないだろ」と彼をなじったが、男はこう答えた。「1年以内に王様が死ぬかもしれないし、私が死ぬかもしれない。1年の間に何が起こるか誰にもわからない。それに、1年あれば馬が飛ぶようになるかもしれない」。さてこの寓話、大言壮語や時間稼ぎをしろ、ということではありません。このお話は極端なので、絶対不可能なことを「できます」と空手形を打っているように聞こえる。しかし、できるかどうかわからないことを「できます」と言うのは仕事の姿勢としては大切、そんな寓意がある気がします。

創意工夫する、誰かの助けを借りる、あの手この手でジタバタする、そのプロセスが成長の機会になる。そのチャンスを逃してはいけないということです。以前、私が人事の仕事をしていたころに、経営陣の方からある提案をいただきました。その場でいろいろお話をお聞きして、私は「〇〇について今後研究したいと思います」と返事しました。「やります」「できます」でも「やりません」「できません」でもない言葉です。するとその方は「研究?」と問い、そこから例え話を始めました。カマス(魚)の話です。水槽をガラス板で2つにわけ、片方にカマスを入れ、もう一方に餌をやると、その都度ガラスに弾き返され食べることができない。それを何度も繰り返すうちに、やがてカマスは餌を獲りに行かなくなる。そしてガラス板を取り除いても、もう餌を獲りに行かない。以上ですが、つまり君たちは「どうせできない」という固定観念にとらわれている、という例えです。その時はカマスの話をなんとなく聞きながら、言いたいのは「ふざけんな。絶対やれ!」ってことだな、とビビってました。そしてその方は「わかるな」と穏やかに結びました。結果やることになったのは言うまでもありません。

今考えると、このカマスの話も、まず「できる」からスタートせよ、という例示です。あきらめるな、成功するまでやれ、ということ。カマスになるな。何かを成し遂げた人は、必ず成功するまでやり続けている。「成功の秘訣は、成功するまでやることだ」と多くの成功者が言っています。私たちが考えている「できない」の条件は、私たちの頭の中にしかない条件です。環境変化、新しい技術、他者の知恵、幸運、奇跡、あらゆる可能性を捨てない。イノベーションのヒントになるような気がします。

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