チャンス感度の重要性

2020年のノーベル化学賞は、ゲノム編集技術開発に貢献した米仏出身の女性研究者2名(シャルパンティエ氏、ダウドナ氏)が受賞しました。ゲノム編集って何? 私もよくわかりませんが、簡単に言うと「思い通りに標的遺伝子を改変する技術」だそうです。従来の遺伝子工学と比較すると非常に応用範囲が広く、農水産物改良、難病治療、創薬などに活用されている。ゲノム編集の技術には主に4種類あり、その中で最も評価が高いのが「クリスパー・キャス9」で、今回ノーベル賞を受賞しました。登場からわずか8年で大活躍しており、専門家は「クリスパー・キャス9は、効率・簡便・安価の三拍子がそろっている。遺伝子改変が驚くほど簡単で、社会に与えた影響は計り知れない」と言います。一方で人の受精卵の遺伝子改変にもつながる生命倫理上の問題が指摘されており、各国での規制も進んでいます。

さてこの技術、実は二人の日本人(中田阪大名誉教授、石野九大教授)の研究がベースになっている。1986年に大腸菌の特殊な遺伝子を発見し、翌年論文を発表した。クリスパー・キャス9はその仕組みが応用されています。この二人は「最高の名誉だ」と、画期的研究にかかわれたことを喜んでいます。当時発見した不思議な遺伝子配列について、論文では「生物的な意味はわからない」と報告し、それ以上の研究には進まなかった。石野氏は「他の研究に夢中で、忘れてしまった。研究者としての悔いはない」と語っています。でも、「思い出して調べてみればよかったですね」とも言っている。

イノベーションて、ここなんですよね。本当に難しいです。「野性的な直観」というやつです。捨てない。粘る。信じる。感じる。「面白そうなアイデアだけど、何の役に立つのかわからない。でもなんかある気がする」、これです。しかし断捨離の時代、「なんか役に立ちそう」でキープするのはとても難しい。部屋も机も頭の中も、あっという間にゴミ屋敷状態になってしまう。基本的にはどんどん捨てつつ、本当に気になったら捨てない。まさに「野性の勘」です。まあ結果論なんで、まわりは後からなんとでも言えますが・・・。しかし大発見に限らず、『チャンス&リスク感度』が大切なのは間違いありません。例にあげたノーベル賞の例はチャンス感度ですが、日常的にはちょっとした違和感や気になることが結果に直結する場合が多いです。日頃から感度を鍛えて、巡ってきたチャンス・幸運を逃がさないようにしたいものです。昔から「幸運の女神に後ろ髪はない」と言いますからね。

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