高速実験の時代
「正しいPDCA」の中核となるのは、「課題から始める」、「やりっぱなしにしない」の2点です。その上で、「見える化して、小さく速く回す」ことがポイント。まずやってみて素早く修正する。いい加減な試行はできませんが、スピードは大事です。世の中の流れもそう。マーケティングも変わりました。①マスから個へ→TVCM中心から、WEB中心のコミュニケーションに変わりつつある。②コストの低下→商品・サービスを全員に知ってもらう必要はない。絞り込んだターゲットに照準を合わせる。③時間の短縮→ITの進化により効果測定が瞬時にできるようになった。①②③を考えると「テストマーケティング(市場実験)」が有効ですね。コストも時間もかけずに、ターゲットを絞って実験ができる。昨今のWEBマーケティングなどはまさにそうです。
この他にも時代を反映したいくつかのキーワードがあります。例えば「アジャイル開発」と「デザイン思考」。アジャイルとは「素早い」「機敏な」という意味で、短いIT開発単位を採用することです。全体を短く区分し、実装、テスト、修正、リリースを繰り返しながら、次の優先順位を決めていく。これに対するのが「ウォーターフォール開発」で、最初の要求仕様を忠実に実装する。「アジャイル開発」は顧客の要件を素早く柔軟に反映して、『顧客が使えるプロダクト』に仕上げます。
次に「デザイン思考」。デザイナーの思考プロセスを活用し、前例のない課題に対して最適な解決策を生み出す思考法です。デザインと言ってもアートではなく、クリエイティブやセンスとは関係のない思考スキルです。その特徴は5つのステップにあります。①ユーザー共感→②問題定義→③アイデア創出→④試作→⑤テスト。私は④と⑤にこの思考法の神髄があると思います。満を持して完成品をリリースするのではなく、まずテストしてみて、ユーザーからフィードバックをもらう。そして修正する。「とりあえずやってみる」精神です。「仮説を立てたら即座にプロトタイプをリリースし、高速でサイクルを回していく」この思考法が、今受け入れられています。
以上、「テストマーケティング」、「アジャイル開発」、「デザイン思考」を取り上げましたが、共通なのは「テスト→スピード」(高速実験)という流れです。不確実で複雑化したVUCA(曖昧)の時代に、強く求められるスタンスだと思います。筋書は大事だけど、筋書どおりにいかないのがビジネス。「まずやってみる」姿勢が大切だと、強く思います。