お客様本位
以前新聞にLIXIL(リクシル)の瀬戸社長のインタビュー記事が載っていました。瀬戸さんは、2018年に一旦指名委員会に社長を解任されました。しかし翌年の臨時株主総会で創業家陣営と経営権を巡って対決し(機関投資家の株主提案)、賛成多数を勝ち取って社長に返り咲いています。ドラマみたいですね。
LIXILグループは、売上高約1兆3800億円、経常利益率2.6%。従業員数6万人強。1949年創業(前身)、2001年にトステムとINAXが経営統合して純粋持株会社化。その後複数社と合併や資本提携を繰り返して現在に至ります。住宅設備機器・サッシ・建材などが主な事業領域で代表が瀬戸欣哉氏(61歳)。住友商事→起業→LIXILという経歴です。瀬戸さんの前のLIXIL社長は藤森義明氏という方で、この人もGE(ジェネラルエレクトリクス)出身のプロ経営者。創業家が二代続けてプロ経営者を招き入れ、更迭したんです。藤森さんは海外展開やM&Aで拡大路線を狙ったけど、実際失敗した。瀬戸さんは、不採算事業整理などで軌道修正していた。これに対し、創業家は「再び拡大経営したい」と振り回したようです。そして解任。すると投資家(株主)から批判が噴出して、株主総会でのプロキシーファイト(票の奪い合い)になりました。社長に復帰した瀬戸さんは、その後も地に足を着けた経営をするとともに、起業家精神で改革にも取り組んでいる。
まずは「お客様の定義」。LIXILは住宅機器メーカーなので、小売店や工務店が主な営業相手でした。だから売りやすい商品(平均品質・低価格)を薦めがちだった。これに対し「エンドユーザーがお客様」と明確に定義しました(小売店・工務店はパートナー)。現在は、お客様のニーズにきめ細やかにお応えする顧客サービスが実現できているそうです。ショールームのデジタル化、3D完成イメージと見積もりの提示などなど。
多くの人が感染症対策で自宅にいる時間が長くなり、タッチレス機器や二重窓などのリフォームニーズが発生している。これに対し、顧客目線で丁寧に対応、提案しています。従来のLIXILは自社の拡大に目が行き、お客様本位があいまいだった。それを根本から反省、見直し、具体的アクションに落とし込んで行動しています。ユーザーはサービスに対して、何を期待し、何に満足し、何に不満を感じているのか。私たちもユーザー視点を大切にしたいですね。