Why not yet?
「コンサルを超える~問題解決と価値創造の全技法」という本をKindleで読みました。著者は名和高司さん。一橋大学大学院教授で、三菱商事→マッキンゼー(コンサル)→MBA教授、というキャリアです。今回、この本からの気づき・学びを話題にしたいと思います。
名和さんは、マンキンゼーとボストンコンサルティングの両方を経験しており、両社の違いが興味深かった。どちらも結論に至る思考プロセスはほぼ同じ。しかしクライアントに対する説明や導き方が対照的なんです。マッキンゼーは3ヶ月で解決に至り、結果プレゼンの冒頭でいきなり「衝撃の結論」をガツンとかます。そして危機感を煽り、一気に押し切る。一方のボスコンは、クライアントとともに一定の時間をかけて並走する。最後まで結論を押し付けず、クライアント自身に気づかせる。一見、ボスコンの方がよいように感じますが、そうとも限りません。強いカンフルがほしい時はマンキンゼー、丁寧に取り組みたい場合はボスコン、ということらしい。ボスコンの人とは、私も何度か会っていますが、確かに丁寧な印象ですね。ただしこれはボスコンジャパンだけらしく、グローバル本社はマッキンゼーに近いとのこと。日本企業だと、野村総研とお仕事を何度かしましたが、やはり結論は言わず、ファシリテーションに徹していましたね。この本から、コンサル(支援・協力)する場合は二つのスタイルがある、ということを学びました。
この本で最も響いたのは、次の内容です。問題解決の基本は、「①Why?→②What?→③How?」。確かにそれが定石なんだけど、現実には②と③の間に「Why not yet?」(なぜまだやってないの?)がある。クライアントもコンサルも、①②③は最初からある程度想定している。「わかっちゃいるけど、できないんだよ」というのが本音。「なぜ、それができないのか?」を、さらに深く掘りこむ必要があるんです。経営課題と解決策を提示しても、それを組織に浸透させて、やり切らなければ意味がない。多くの組織が、「そう、それが課題なんだよ。でも難しいね」で終わってしまう。これを数限りなく見たからこそ、名和さんはこの問いの重要性を強調します。私たちは、なぜ浸透しないのか? なぜ定着しないのか? なぜできないのか? これをとことん深掘りしなければなりません。そして、真の変革に挑戦したいですね。